ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

『ドラえもん のび太の地球交響楽』

doraeiga.com

書くと宣言したので書く。昨年の『空の理想郷』もかなりよかったんだけど今年も結構超えてきたなと思った。音楽がテーマというので若干評価に下駄を履かせている部分も無くはないが、事実よい映画だったと思う。特に今年は伏線の回収がかなり鮮やかだった。強いていうなら「ミーナがもうちょっと話の本筋にいてくれたらなおよかったな」というくらい。それ以外については個人的にはほぼ完璧だったと思う。

お話のあらすじとしては、音楽の授業でリコーダーが苦手なのび太ひみつ道具で「音楽がなくなる」という願望を叶えた。しかし「音楽がなくなる」という願いは音楽の授業だけじゃなく世界から一時的に音楽が消失してしまう事態を引き起こしていた。一方、リコーダーの練習中に不思議な少女ミッカと出会うのび太たち一行。ある日差出人不明の「夜の音楽室で待っている」という手紙を受け取った一行は夜の学校の音楽室に向かうと、準備室の扉の向こうからミッカの歌声が聴こえ、力を貸してほしいという言葉に扉を開ける。その先にあったのは不思議な空間「ファーレの殿堂」で、「音楽の力でファーレの殿堂を再興させてほしい」というミッカとその従者のチャベックに協力することとなった。という感じ。ちなみにこの映画に対する熱量の高いwikipedianがいて、話のあらすじがほぼ全部wikipediaで読むことができる。脅威の熱量なのでネタバレ避けたい人は読まない方がいいレベル*1

ja.wikipedia.org

ここからは感想で、まず「ノイズ出現」に対しての理由付けが完璧。若干「ファーレの殿堂」の説明が薄いかというくらいは思わなくもないが、お話としては全然飲み込める。ヴェント―先生のくだりはめちゃくちゃ泣いてしまった*2。妹の設定も「ずいぶんいきなりだな」と思ってけど「冒頭のあれはそれか!」とすぐ納得できたし。序盤からずっとミーナの名前を出してくるのはそういうことかと納得感もある。ただオチの「『の』の音」はもうちょっとかっこよかったらより好きだったな。音楽面についても素晴らしく、交響楽じゃない曲もあるやんけと思いつつある程度有名曲を意図的に入れてるんだろうと理解できるレベル。スネ夫のバイオリンが上手すぎるというも笑ってしまったけどエンターテインメントとしては全然ありだと思ったし、ジャイアンもチューバを速攻マスターしててウケます。若干、しずかちゃんの運命の楽器がバイオリンでもピアノでもないのが悲しすぎるだろと思ったけど、本人は気にしてなさそう*3だからまあいいや。あとはチャベックが書いた曲で終わらせないあたりも「まだ魅せてくるか」という感じがして個人的には好感を持っている。あそこで終わらせた方がストレートなエンタメではあるんだけどね。唯一ちょっと気になったのはのび太が「みんなと一緒に演奏がしたいんだ、ドラえもんを助けたいから」のセリフ。個人的には「ドラえもんを助けたい」が先に来てほしかった気持ちがありつつ、映画としては「みんなと一緒に演奏がしたい」が先に来るのは理解できるので難しいところだなと感じた。最後に1点、後半のび太たちが宇宙空間に放り出されて空気がないから音がなくなるシーン、あれ子どもには難しいと思いました。実際劇場で観てたときに子どもが数人「音なくなっちゃったよ?」と声を出してたし。まああの「宇宙空間の怖さ」が即理解できて戦慄できるのは大人の特権ですかね。

繰り返しになるが個人的にはかなりいい映画だと思いました。最後に1点と言ったのに即前言撤回してあれだけどもうひとつ。音楽が消失した際に「鳥のさえずり」や「虫の鳴き声」も音楽として判定されてるのが最高に好きでした。あとエンドクレジットで羽田健太郎さんの名前を見た気がするんだけどあれば僕の勘違いじゃないですよね?葉加瀬太郎の名前と近いタイミングで記載してあった気がして色々情報を探しているんだけど今のところピンとくる情報がない。羽田健太郎さんは太陽王伝説でメイン主題歌の作曲をされていて、今回の音楽担当の服部隆之さんも尊敬しているという話を聞いているので目頭が熱くなりました。もう亡くなってから17年も経つのか。そんな羽田健太郎さんの名前を2024年にも受け継いでくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。あとVaundyもよかったよ!*4

*1:文字数カウントしたら4000文字オーバーだった

*2:が、直るんかーいとは思った

*3:気にしてるような場面があったらそれはもはや確信犯だから怒ってたかもしれない

*4:昨年のNiziUも悪くはなかったが、小宇宙戦争Official髭男dism的なはまり方をしていてよかった