ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

『Sin Clock』観た

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アマプラのウォッチリストにずっと入れてて、1時間半ってちょうどいい長さだなと思って観た。窪塚洋介はかっこよかったです。

窪塚洋介演じるタクシードライバーの高木が、奇しくも同タイミングで採用となった同僚のタクシードライバー2人と一緒に悪徳政治家から絵画を奪って一攫千金を目指す話。クライムサスペンスといえばクライムサスペンス。おもしろくないわけではないんだけど、結論僕には合わなかったなという感じでした。

話は単純におもしろい。強奪計画も、強奪後に裏の業界に流して現金化したあと追手を巻くためのプランも。ただ、かなり高頻度でブラックのフェードアウト/フェードインで画面が切り替わるので「なんかもうちょっと表現ないのかな」とめちゃくちゃ気になってしまった。時間が変わるときの明示として使うのはわからんではないんだけどなんの気ない場面転換でもそれが使われていて「またフェードアウトか」ってなってしまった。この辺は映像表現の好みの問題かもしれない*1。他にはクラブで作戦会議をするシーンも、クラブである必然性ってあるんかなと思ってしまった。最終の犯人も「動機はなんとなくわかるし、手口もわからんではない」という感じなんだけど、じゃあ最初に計画を知ったきっかけ*2ってなに?とシンプルに疑問だった。オチも飛行機ごと行方不明って言われてどういう気持ちになったらいいのかわからん。

まああれこれ書きましたが窪塚洋介を筆頭に役者はよかったし、Jin Doggってあんな普通に役者できるんだって驚くくらいだった。音楽もよかったしね。ただなんか観ていてずっとうーん?みたいになってしまったので僕にはあんまり合わなかったです。1時間半なのでそんなにしんどくないから観てもいいと思うけど、個人的には人に積極的に薦めることはないかなと思いました。

Sin Clock

Sin Clock

  • 窪塚 洋介
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*1:僕は映像表現については数冊本読んだくらいの知識しかないため

*2:これが噛み合ったら後の手口は納得感あるんだけど

澤村伊智『ばくうどの悪夢』読んだ

本棚を眺めていて、『ぜんしゅの跫』読んでからそういえば続き読んでなかったなと思い出したため読みました。澤村伊智先生の本はいつ読んでも最悪(褒め言葉)でよい。

眠れば、死ぬ――
東京から父の地元に越してきた「僕」は、何かに追われる悪夢に悩まされていた。夢で傷付いた箇所に、現実でも現れる謎の痣。急死した同級生の遺体にも同じ痣を見つけた「僕」は、父の幼馴染の野崎と妻の真琴に助けを求める。彼らの調査と対策で「僕」や同級生らが件の悪夢を見ることはなくなり、事態は解決したかに思われた。しかし、今度は「僕」の夢に「比嘉琴子」と名乗る女性が現れ――。

ん゛あ゛ーーーってなりました。比嘉姉妹シリーズで一番最悪かもしれない。怖いのはもちろんなんだけど初っ端が最悪すぎる。人によっては読むのを止めるレベルで最悪でした。なので別にネタバレでもなんでもないので申し上げておきますが、近々出産を予定している方々は読まない方がいいと思います。いや小説はめちゃくちゃおもしろいんですよ。おもしろいんですけど、出産予定の人には薦めないです、という話。

あらすじはざっくり上述の通りなんですが、正直前半踏まえた後半の感想を書いてしまうとすべてネタバレになってしまうので書けることが少ない。一応匂わせレベルで記載しておくと、「僕」が「僕」である理由*1を考えると、あるいはやたら優秀な探偵役が出てきたあたり、ミステリ慣れしてる人だったらこの辺で「ほほん?」ってなると思います。これ以上は言えねえ。まあでも序章から第二章までのスーパー胸糞悪メーターフルスロットル具合はかなり見ものだと思う。マジで澤村伊智先生書いてて自分で落ち込んだりしないのかな。作家という職業はすごい。あとこの情報だけだったらネタバレにならないから書きますが、後半の軍団同窓会の空気悪くなる感じ嫌すぎ*2

すごく遠回しにちょっとしたネタバレをしますが、今回の怖さは映画の『オープン・ユア・アイズ』を観たときに近い感じがありますね。どこまで行っても「なにを信用すればいいの?」って感じになるというか。しかもすごいのが、どんどんその疑心暗鬼ループが短くなってくんですよこの小説。なので一息ついた→ついてませんでした→一旦切り抜けまs→切り抜けてません→ようやっと落ちt→落ち着いてません、みたいな。絶望が何度もやってくる。

あと今回は琴子が直接的な弱みを見せる珍しい場面があってよかった*3です。これちょっと流石にシリーズの続きが気になるから『ざんどぅまの影』に行ってしまおうかと迷う。他にも読みたい本はあるんだけど悩ましいぜ。と言いつつ映画も観たいので読書関連はちょっと先になるかもわからんです。

*1:妙に詩的っぽい表現になったけど言葉の意味そのままで受け取ってください

*2:かつなぜか場面が容易に想像できてしまう圧巻の筆力

*3:今までもふとしたときに弱さを見せる、くらいはあったけど今作ではド直球です

これといって特に意味もなく断食2026夏

tokidokidj.hatenablog.com

そういや3年前にもしてたな。

なんか最近胃腸の調子がよくないな〜と思っていた際に、「今日食事の気分にならなかったらしばらく抜いてみるか」と思い立ち久しぶりに断食(固形物摂らないだけ)をした。なぜ「これといって意味がない」かと言うと、断食するぞ!って意識でしたんじゃなくて気がついたら1週間固形物食べなかったなというだけだからです。

基本情報

  • もとから食事量は少なめ
    • 1日1食、多くて2食
  • アルコールは毎日過剰摂取
  • タバコもめちゃくちゃ吸う
  • デスクワークでほぼフルリモート
    • 通勤がある人、肉体労働の人は万が一があっちゃいけないから真似しないでほしい意味で書いてます
  • コーヒーは日々のルーティーンとして飲む程度
  • 日常的に摂っているのはビタミンCサプリ、気が乗ったときだけプロテイン(OIKOS) or 無調整豆乳を1本飲む

1~3日目

  • 初日はマジで「食欲ないからいいや」くらいの気持ちだった
    • 朝コーヒーを500ml、日中は水を常飲
    • タバコは普段通り吸っていた
    • 今日は久しぶりにアルコール抜いてみるか〜と思ってノー飲酒
      • 結果的には「特に不自由はないけど眠れない*1」程度
  • 2日目は「昨日と一緒でいいや」という程度の意識
    • 同じく特に困ることはなく、前日寝不足だったから眠れるかと思うも4時間程度の睡眠にとどまる
  • 3日目、48時間絶食してるから続けてみるかとここで初めて断食を意識する*2
    • とはいえ、「食べたくなったら食べよう」くらいの感覚
    • 別軸でタバコを減らそうかと思っていたので今までの1/2を目指して計画 → 特に問題なく達成
    • アルコールなしで寝ることに慣れたのか5時間半睡眠を達成
  • 72時間程度の断食は個人的に全く問題ないことが確認できた

4~7日目

  • 4日目に初めて明確なエネルギー切れを感じた
    • 別に無理して続ける必要ないから固形物摂ろうかなと思ったけどプロテイン飲んだら落ち着いたので気がついたら断食継続していた
    • このタイミングで「タバコもうちょい減らしてみる?」と思ってさらに減らした
    • さらに「毎日買ってるOIKOSも、もったいないからソイプロテインにするか」とドラッグストアで粉プロテインを購入
      • 引っ越し前の所持品整理でプロテインシェーカーを捨てたことを思い出し萎える*3
  • 以降5~7日目は特に変わりなかったので包括します
    • 4日目にあったエネルギー切れ感はかなり薄れてた
    • 大体3日目以降くらいから続いてたんだけど1日おおよそ6Lくらいの水を飲んでた
      • 喉や口が乾くというのもあるけど、タバコ吸う代わりに飲んでたという感じ
    • 多分コーヒーもなくそうと思えばなくせるんだけど、ルーティーンを変えたくなかったのでこれは継続してた
      • 健康を考えるならカフェインも抜いた方がよさそう
    • 熱中症予防に電解質摂った方がいいかと思っていたけどリモートワークでクーラー環境化のため特に問題なかった
      • ただ「電解質いらないな」と思って摂らなかったんじゃなくて「困らなかったから摂るの忘れてた」というだけ
      • なので基本的には意識して摂った方がいいと思う*4
    • 食事/アルコール/タバコについてはあっけないまでに摂取せずに済んだ
      • すべて「水を飲む」で代替できてしまった
      • もしかしたら栄養不足で欲求を感じる思考自体が鈍くなっていたのかもしれないので安易に推奨はしないですが
  • 8日目にDJをする(≒酒を飲む)予定があったので「8日目までの区切りでやるか」という意識の低さが結果的に達成できた要因な気がする

前述の通り、結果的には「そういや摂らなかったな」くらいの感じだったけどあんまり困らなかったすね。繰り返すけどこれはもともと僕が食が細いのとフルリモートのデスクワーカーだから、というのを強調しておきます。今年はまだましだと思うが最近の日本の夏はやべーからです。栄養に関してはほぼOIKOSと後半は粉プロテインで摂ってた*5んだけど、これも削るといろいろヤバくなるのかな。気になるところですが特に実験してみたい欲もないのでたぶんしないです。ちなみに今まで買ってたOIKOSと乗り換えた粉プロテインは以下。

OIKOSのタンパク質25g、コンビニで買えるし美味しいので今でも気に入ってるんだけどちょい高いんですよね。乗り換えたプロテインは近くで売ってたからというだけの理由で買った。おんなじタンパク質量摂ろうと思うと1回あたり大体¥100くらい安く済むものの、シェーカー捨てちゃったし洗い物の手間を考えると長期で考えないとそんなにお得じゃないかも。まあ環境配慮*6としては今後も粉プロテイン買うかもしれないし、タバコとアルコールを減らしてOIKOSに戻すというどちらの手もある。

胃腸の回復という意味では「ましにはなったかも」くらい、体重に関しては多分減ったんじゃないかなくらい*7、思考には特に影響ないので、個人的には健康のためっていうより単純に意図せず節約になったなという感じでした。まあアルコールなしで眠れるようになったのはいいことなので、アルコール起因で体調が優れない人は無理のない範囲でやってみるといいかもですね。

*1:アルコールが入ってないので

*2:賞味期限が近い食品が冷蔵庫になかったのも一因だと思う

*3:けどまあ普通にコップで溶いて飲んでます

*4:ヤバいと思ってから摂っても手遅れになりかねないので

*5:ビタミンCサプリが「栄養」と呼べる程度なのかわからんため

*6:ゴミ問題的な意味で

*7:体重計もハードオフに売っちゃったのでね!

エッセー『煙草のち雨、のち』20260822

1日に数本タバコを吸う。以前の生活に比べればずっと減ったし、おそらくもうやめようと思えばやめられる程度の欲求になったが、外出するためのきっかけとしてタバコを吸いに出かける。少し前から東京都では公営の喫煙所以外での喫煙は基本的に禁止されていて、私有地(これには「自宅のベランダ等」も含まれるとされている)では許可をされているが、もう10年近く前からご近所トラブルになるのが嫌で自宅ベランダでは喫煙していない。ゆえに公共の喫煙所まで散歩に行く。

我が家の最寄りの喫煙所は歩いて6分程度、見栄を省けばおおよそ10分以内には到着する位置にある。雨があがった道のりを歩くと夏なのに風が涼しい。毎年これくらいの気温だったらいいのにな、今日は雲が速いな、と思いながら歩く。喫煙所についてタバコを吸っていると、ものの数分で空が陰りだし、再び雨が降ってきた。吸い終わるころにはなかなかどうして雨の勢いが増してしまい、とりあえずでカバンに入れておいた折りたたみ傘では耐えうるのも難しそうな様になってしまった。

公営の喫煙所のそばには図書館がある。なるほど、図書館の敷地内に喫煙所を作ることは叶わないが、近くに喫煙所を作ることで「公共施設内には喫煙所はつくらないが、その周辺で働く喫煙者にはここが使えますよ」という体で作られているわけだ。であれば逆に、喫煙所利用者が一時的な雨宿りに図書館を利用しても咎められるものではないだろうという思考で図書館へと向かった。

iPhoneの天気アプリでは30分程度で雨が止むらしい。図書館内のPCで蔵書を適当に検索し、以前から少し気になっていた本を見つけて開架へ向かう。『この私が死ぬということ: 人文死生学の展開』を手に取り、席へ着いてパラパラとめくる。この本は「大枠の死」について語るものではなく「ほかでもない『私』の死」について研究する本だ。この本を手にとったのは別に今僕のメンタルがよくない方向に向かっているとかではなく*1、かつて教わっていた先生が寄稿しているからというだけの理由である。思いの外興味深かったのは様々な学問の分野から「私の死」について研究するアプローチがされているので、哲学のバックグラウンド以外からの視点だとこのような切り口があるのかという学びがあった。しかし大学を出てからだいぶ時間の経つ僕には理解が追いつくまでに時間を要し、気がつくと外には陽の光が差し込んでいた。

外に出るとまた爽やかな青空が顔をのぞかせている。普段喫煙所に来たら1本だけ吸って帰るのだが、爽やかな気持ちになっていたのでもう1本タバコに火を付けて煙を吐く。また降り出す前に帰ろうかと歩き出すと、来たときと同じく涼しい風が吹いていた。帰り道にチェロのハードケースを持った人とすれ違った。この人は雨に打たれずに済んだのだろうか、そんなことを考えながら自宅に戻った。

*1:希死念慮自体は幼少期からあるので今に始まった話ではない

3年越しでAKT-0.1が届いた

クラウドファンディングの先駆けであるKickstarterで、このコントローラーおもしろそうじゃんと思ってプレッジしていたものがあります。表題のAKT-0.1。

akutostudio.com

モノとしてかっこいいし、これならビートメイクの幅が広がるかも!?と思い立ってプレッジしたんですが、2023年5月でプロジェクトの締め切り/2024年1月発送予定だったこちら、度重なるプロジェクト遅延を起こしてコミュニティでは支援者からブチ切れられたりしてました。

めっちゃ支援者がキレてた頃

ハードウェアだし、コロナやトランプ関税の影響など読めない要素も多分にあったので「正直これは初めてポシャったプロジェクトに課金してしまったかな......まあいい勉強代か」と僕も思っていました。ところが状況は昨年末から一転、海外ユーザで徐々に届いたという報告が挙がるように。そして日本のユーザも今年の2~3月くらいからだんだん届いた報告がTwitterにあがっていたんですが、今回なんと僕のところにも3年越しでようやく到着しました!!!うれしい!

といっても昨日届いてまだ開封はしてない*1ため使用感とかはまだレポートできないんだけど、確実にちょっと曲作るかという気分が高まってきてます。正味Ableton Push2以上にAbleton Liveを動かす上でフィットするコントローラーなんてあんのかという感じもあるが、とにかくいい感じにコードを打ち込んでビート作れたら楽しいので問題なしです。しばらく機材はソフトウェア含めて増やさないつもり*2なので持ち物使い込んでどんどん手に馴染ませていきたいぜ〜。

なんかおまけでトートバッグもつけてくれてありがと〜

*1:国際輸送用の段ボールからは出してあって、化粧箱からは出してない状態

*2:自作はその限りではない

五条紀夫『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』読んだ

最近結構YouTubeで未来屋書店公式チャンネルを見ているんですけど、ちょうど「この作者の人は気になってたんだよな」って方が出てまして。


www.youtube.com

はい、五条紀夫先生です*1。出版区とかもそうなんだけど未来屋書店公式チャンネルは作家の言葉が聞けるので楽しいんですよね。で、この本については本屋で平積みになっててみんな大好き太宰ネタというかメロスネタというかで気になって買ってたんですよ。そんで積んでたので読んだ。

身代わりとなった親友を救うため、メロスは推理した――!

自身の身代わりとなった親友・セリヌンティウスを救うため、3日で故郷と首都を往復しなければならないメロス。しかし妹の婚礼前夜、新郎の父が殺された。現場は自分と妹しか開けられない羊小屋。密室殺人である。早く首都へ戻りたいメロスは、急ぎこの事件を解決することに!? その後も道のりに立ちふさがる山賊の死体や、荒れ狂う川の溺死体。そして首都で待ち受ける、衝撃の真実とは? 二度読み必至の傑作ミステリ!

基本的にコメディ能力が高すぎる。ある種インターネット的な笑いの実力がありまくって、ページをめくるごとに必ずクスッとできるレベルです。それでいてミステリの手法やメロス(あるいは太宰)ネタ/古典ギリシアネタをガンガン入れてくるのでめちゃくちゃ笑ってしまってしまった。

事前に押さえておくといい知識としては当然『走れメロス』だし、正直それだけでもいいんだけど、前述の通り太宰治に関するエピソードと古代ギリシア史に対する知識があるとより楽しめます。といっても古代ギリシア史の全体観を把握している必要はなく*2、都度ピンポイントに人物名とかでググれば十分です。

「第一話 メロスは推理した」はメロスが既にシラクスで喧嘩売ってセリヌンティウスを人質にして村に妹の結婚式参加のため戻ってきたタイミングからスタート。急だけど明日結婚式やってと妹婿の両親に要請したら義父とちょっと空気悪くなっちゃって*3、その後メロス宅の羊小屋で密室殺害された義父が発見されてさあ大変という話。密室トリックについてはそんなに難しくないので必然的に犯人の検討はつくし、犯人の動機については「重厚なバックストーリーなんてあるわけねーわな」って感じでケラケラ笑いながら読めます。この時点で既にフィジカルとクールな短刀の執拗な天丼、登場人物の名前でのふざけが多発していてウケる。

「第二話 メロスは約束した」はシラクスで喧嘩売るところです。国王が変わらず乱心していてよかったです。メロスはもっと乱心してるけどな。邪智暴虐の王に怒りつつセリヌン宅で酒飲みまくって記憶をなくしたメロスが、記憶ないけど警吏を◯しちゃったかもという話。乱心すぎるだろ。実際警吏を殺害したのは誰なのかってのを解き明かしつつ、「まあ状況証拠的に自分が殺ったわな」となり*4、セリヌンを人質にして村に帰るまでの部分にあたる。で、これは大体予想できるだろうけど後半に繋がってきます。そうじゃないとメロスがカジュアルに殺人するだけの話になっちゃうからね。

「第三話 メロスは奮闘した」は妹の結婚式後シラクスへの復路で山賊にあうところの話。この辺からふざけ方に輪がかかる感じがいいですね。特にキャラ名。メロスが山賊とあった時点で死んでいた山賊の手下について、犯人は/どうやって犯行を行ったのかという謎解き。シフト表の下りはめっちゃ笑ったし、ドヤ顔で「叙述トリックである」って言われたときには笑いながら「ふざけんなよ」って声に出しました*5ここあんまり書くと完全に三話のネタバレになるのでサクッと次に行きますが、終わり方も最高でしたね。

「第四話 メロスは入水した」、ここで太宰いじりが発動します。『メロス』でいうところの増水で濁流になった川をわたるところなんですが、そこで入水自殺しようとするオサムスと、オサムスの友人で既に死体となったカズオウスというキャラが出てきます。しまいには二人が泊まっていた宿の主はイブセマスです。どう考えても「熱海事件」です。でもここは、よく元ネタのこの場面で川→入水自殺→太宰いじり→熱海事件とつなげたなと感心してしまった。あとここのトリックが一番好きでした。『人間失格』のいじりから、きっかけとなるとなるセリフでパズルがバチバチッとつながる感じがめっちゃ気持ちよい。ラストもなかなか爽やかで急に青春小説っぽくなるのも好き。

「第五話 メロスは激怒した」、メロス2回目の激怒です。ちなみにここについてはプラトンに対する知識から真相が読み解けてしまいました。この情報だけではネタバレにはならないし、読者への挑戦で明言されるのでこれも書いてしまいます。一応正確にはこれだけじゃない謎解き要素があるので事前知識なくても楽しめることも併記しておきましょう。最後まで笑かしてきながらも不思議と爽快感のあるよいラストでした。

全体通して数時間で読めるのでちょっとした待ち時間とか使えば1日で読めるんじゃないでしょうか。なんせメロスが時短のためにちょいちょいフィジカルで解決しようとする*6くらいの内容なので、読んでる側もサクサクいけます。インターネットの人って特に『走れメロス』好きな印象があるので、インターネットとパロディと太宰治が好きな人には大変おすすめです。

*1:後編もあってそっちもおもしろいです

*2:ヘロドトスとかディオゲネス・ラエルティオスを読んでなくても大丈夫

*3:あたり前すぎる

*4:これはもはやネタバレとも呼べないので書いてしまう

*5:褒め言葉です

*6:ゆえにトータルの文字数は増えているという皮肉もある

『#真相をお話しします』観た

shinso-movie.jp

これコミカライズでちょっと読んでたんですけど原作小説なんすね。全然知らなかった。映画観る前にちょっと調べて知ったので「先に原作読めばよかったな」とちょっと思ってしまった。

オムニバス形式の作品ということだけはコミカライズで把握してたんだけどこれどうするんだろうなと思ってたら司会者+プレゼンター形式というのはなるほどなと関心してしました。原作でもそうなんですかね?話としては「惨者面談」「ヤリモク」「三角奸計」「#拡散希望」で構成されて*1る。「惨者面談」「ヤリモク」に関してはコミカライズで読んでたから内容は知っていたんだけど「三角奸計」についてはわりと友人そこまでカジュアルに協力することってある?と思ったりなどした。まあそれいい出したらほとんどの話でカジュアルに人が死ぬからきりがなくなってしまうんだけれども。あとここは原作でもこの形式がとられているかわからないので判断つかないが、一旦主人公格である警備王の話が区切りついてしまうのが映像のテンポとしてよいのか微妙だなぁと思った*2。多分原因としては劇中の人間にとって最大の興味の対象である「ふるはうす☆デイズ」について僕(視聴者)はなにも知らないからなんだろうな。もしその前提知識があれば素直にクライマックスだ!ってなれるんだと思う。まあでもトータル「映画として普通におもしろいじゃん」という感じでした。あとちゃんとMrs.GREEN APPLEの曲聴いたの初めてに近いんだけどいい曲ですね!

一応映画を観終わってから新潮社の特設サイトで無料公開されている最後の一遍だけ読んだんだけど、これは普通に本買って読みたいかも*3。内容を知った状態で読んだら感想はあえて書かない可能性もあるけど、原作で描かれてない詳細とか微妙な調整とかが映画にはあるっぽいので比較できると楽しそうだから積んでおきたいなー。

「#拡散希望」全文公開はこちら

www.shinchosha.co.jp

*1:「パンドラ」は省かれてる(はず)

*2:これは好みの問題なので「これがよい」という人もいると思う

*3:映画的には結論出して終わった方がきれいだと思うんだけど原作準拠というところは好感が持てたため