ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

真島文吉『右園死児報告』読んだ

なんか本屋とかでもずっと気になってたんだけど手に取る機会がなかった一冊。なんで手に取る機会ができたのかよくわからんけど手に取ったので読みました。

<あらすじ>

右園死児案件が引き起こした現象の非公式調査報告書である

明治二十五年から続く政府、軍、捜査機関、探偵、一般人による非公式調査報告体系。右園死児という名の人物あるいは動物、無機物が規格外の現象の発端となることから、その原理の解明と対策を目的に発足した。

あらすじの通りで「右園死児*1」という怪異(?)にまつわる報告書、という体で進んでいくので序盤から中盤にかけては正味文字数だけで考えるとだいぶ少ないです。表紙ー>報告内容という並びで進むので表紙のページとかはほぼテキスト無いので。途中から「報告書」だっつってんのに普通に小説になったりするので最初は「こういうツッコミは野暮だけど気になっちゃうよな」と思ってたんですが、最終的には「こんなエンタメの発明がまだできるだ」とわりとビビるくらいにのめり込んでしまったところがある。そう、単純にこれおもしろいんですよ。

前述の通り「怪異についての報告書」から始まり、だんだんクトゥルフっぽいきな臭さが出てきて、最終的にはSFホラーアクションみたいな感じになるというエンタメ盛りだくさんの内容。個人的にちょっと苦労したのが登場人物の名前を覚えていられないのと「前に出てきた報告書の内容」とかが絡んでくると流石に読み直さないと詳細までは覚えてないぜってなったところくらいですかね。Kindleで読むとそういうものをさっと検索して当該ページまで飛べるから非常に助かった。紙だとめんどくさがってそのまま振り返らずに「なんとなく覚えてなくもない」みたいな状態で読み進めていた可能性が大いにある。文明に感謝ですね。

読み始めは正直「あんまり合わないタイプかな〜」って思ってたけど、読み終わったらかなり満足感があったので途中で投げずによかったなと素直に思いました。もちろん現代社会で可処分時間は取り合いになってしまうため途中離脱も選択肢のひとつだとは思いますが、こういう出会いもあるから読書はやめられんぜという感じです。続編?の『右園死児報告 久』も手元にあるんで次はそれかな。なかなかどうして積ん読が消化できない。まあなんにせよ読みたいときに読みたいものを読んでいこうと思います。

*1:「うぞのしにこ」と読みます、読みにくいね

『ROOM ~史上最悪の一期一会』観た

bs.tbs.co.jp

例のごとくジム視聴です。眞島秀和さんが好きなので、まあ眞島さんいるんだったら大丈夫だろうみたいな感じで観ました。結論、通しでわりと好きでした。

  • かわいそうな役じゃない眞島さんよかったね*1
  • 基本コメディでありつつ、結構ちゃんとピタゴラスイッチ感があり、トリック*2もあってよかった
  • 売れない小説家という役が眞島さんにハマりすぎている
    • かつ、リゾートホテルに逃げ込んできっちりバカンス楽しんでいるのもいい
  • わりと現代のジェンダーに配慮された設定でなるほどなとなった
    • その要素必要ある?と思わなくもない
  • 身代金目的の誘拐はさすがにわかりやすすぎるので多分誰が見てもブラフだなと気がつくから書いちゃいます
    • ただこの設定の本質はそこじゃないというのが非常によかった
  • 南条オサム、女運なさすぎて笑う*3
  • 秋彦は個人的に同情できなかったかな
    • パートナーが活躍の幅を広げようとしているということに対しての嫉妬が前提にありすぎて
  • 青山欣一と将大の設定はさすがにやりすぎと思ってしまった
    • まあコメディテイストを被せてわりと感動路線も拾ってるからあれくらいやっちゃっていいのか
  • パグに取り憑かれた眞島さんを観られる貴重なドラマだった
  • あと男4人で海辺ではしゃいでるの修学旅行感があって非常によいですね
  • タクヤが最後まで顔出さなかった演出もなかなか好き
  • ラスオチで「なるほどな!」ってなれたので一気にこのドラマを気に入った感がある
  • 眞島さんは相変わらず最高に好きな役者なんだけど今回に限ってはMVPは瀬戸利樹さんかな
    • 存じなかったんだけどめちゃくちゃよかった
  • 最後荒川が頼もしい先輩になっていたものほっこりした*4

なんか最初は「まあジムでの暇つぶし感覚かな〜」くらいの感覚で観始めたんだけど脚本が結構好きで観終わったあとは「結構よかったぞ、これ」ってなってた。1話が短いし5話で完結するのでサッと手を出しやすいのでおすすめです。気に入らなかったらすぐ次行けるしね。なんで興を削ぐことを書いたのか自分でもわからんですが、僕はわりと好きなドラマでした。そろそろもうちょっとシリアスな嫌な話が観たくなってきたなあ。

*1:個人的な印象として不憫な役を演じていることが多い気がする

*2:ネタバレになるので伏せます

*3:と書いたが前妻がどうだったかは描かれなかったか

*4:ただ青山に連絡先渡したときホテルマン失格過ぎて笑った

はてなブログの更新告知半自動化システムを作った【後編】

前回のあらすじ

なんかいい感じにはてなブログの自動投稿を半自動で楽にTwitter投稿できないかなとあれこれした挙句、X APIを使うのが嫌だったのでGithub Actionsを使ってやろうとしたら全然投稿時間付近にシステムが動いてくれなくてさあどうしたもんかというドタバタエントリの後編です。

なんかイメージとして仕事でGithub Actions使ってもそんなに苦労した印象がなかったからイケると思ったんですけどね。でも実際1時間遅れとかでしかcronが動いてくれなかったのでAIと相談してやりたかったことの実現に向かったわけです。で、最近個人プロジェクトであらゆることに使っているCloudflareに移行しました。漫画村騒動とかであんまり印象がよくなかったこともあったCloudflareですが、結局一番使い勝手がよかった*1。

基本のシステムを変える積極的な理由がなかったため、極力既存システムの構成は変えずに以下のように構成を見直しました。

cron発火をCloudflare Workersに移行

逆に言えばそこだけこのブログ用に立て直して、Github ActionsをまんまCloudflare WorkersとKVに移しただけです。設定周りをGithub内で完結させなくなったのでブラウザのタブ切り替えとかはダルかったけどそれ以外の障壁はなかった。まあこの辺は僕自身が仕事だったり個人プロジェクトでCloudflareに触ってたってのもあるとは思うけどなんにせよGUIがシンプルで非技術者には大変助かりました。cronの発火は変わらず

08:57 JST

09:00 JST
09:03 JST
09:06 JST
09:09 JST
...
09:30 JST

で飛ばしたんだけどCloudflareはほぼほぼ時間通り正確に動いてくれてよかった。これによって、無事僕のiPhoneにntfy経由でプッシュ通知を飛ばしてくれるようになりました。

指定の時間になった
 ↓ 
Workers「ブログ見てくるか」
 ↓ 
最新記事のURLを確認
 ↓ 
KV「前回見たのはこの記事だよ」
 ↓ 
Workers「URLが違う。新しい記事だ」
 ↓ 
ntfyへ通知
 ↓ 
iPhoneにプッシュ通知が飛ぶ
 ↓ 
KVに新しいURLをメモ

という感じの挙動です。

通勤中かまみくを聴いている最中に飛んできた通知

あとはこの通知で「Xに投稿」をタップするだけでツイートできるんだから楽なもんです。まあ普通に見逃したりもしたことあるけど、それは今まではてなブログ公式で「Twitterに投稿」のチェックを付け忘れるのと大して変わらないヒューマンエラーだから大目に見ましょう。とはいえ完璧ではない。通信状況によってはプッシュ通知がうまく動かず結果的に「そういや今日投稿しているはずだよな」と自主的にntfyを見に行ったりして投稿することもままある。先日もこの通り9:48に気がついて投稿した。

まあなんか前後編分ける意味なかったな。最初書いてたときは「長くなりすぎたから前後編分けるか」って思って分けたんだけど端的にGithub ActionsからCloudflare Workersに差し替えたってだけだった。とりあえず総じて「わざわざやるもんなのか」みたいなところはあるけど、正味1時間くらいでこれが組めたので当面は楽しく使っていこうと思う。惜しむらくは、webサービスなりにパッケージングできれば「同じようにやってみたい人は使ってね」って言えるんだけどそこまで行けなかったという点ですかね。わりと僕は忙しいとTwitter開くの忘れる傾向があるので、これによって半ば強制的にTwitterを開くことになるという意味でもよい方向に転がるといいなと思います。

*1:漫画村の件でも最終的にちゃんと対応したCloudflareに僕は悪い印象は持ってないです

はてなブログの更新告知半自動化システムを作った【前編】

<このエントリは「予約投稿」をした際にTwitterで告知するための半自動化システムの話です。
普通に書いて即時公開するときは「シェアする」ボタンを押すだけで事足りるので読んでもあまり意味がないのでご了承ください>

これの件です。ある程度安定して稼働するようになったので忘備録として書く。

以前ははてなブログの「記事を書く」画面に「Twitterに投稿する」というチェックボックスがあり、チェックを入れると記事が公開されたタイミングで連携しているTwitterアカウントに自動投稿されるという機能があったんですがイーロンの影響*1でなくなってしまったんですよね。

staff.hatenablog.com

別に困らないしなと思ってたんだけど、思い返すと本とか映画やドラマの感想を書いたときに作者の方や関係者の方からリアクションをいただけたりするのが結構嬉しかったなと。なので、自分の手でもう一回あの自動投稿ができれば挑戦する価値はあるなと思って作り始めたのが発端。まあ作り始めた、と言ってもほぼ要件整理の時間で実装自体は30分くらいで終わった。言い過ぎたかもしれない、1時間くらいかも。

やりたかったこと

  • はてなブログに新規エントリが公開されたらそれを検知
  • 最低限[エントリ名]と[URL]をTwitterに自動で投稿する

一昔前だったらIFTTT/Zapierとか使えば楽勝だった*2んだけど、はてなブログと同じく各連携/ノーコード系サービスもTwitter APIへの連携は有料になっていて、金払ってまでやるか?という点に納得感が得られず脳内稟議で却下。

次に検討したのが「極限まで楽して手動で投稿する」という方法。結果的にこれで及第点だと思えたので現在もこのシステムで稼働しています。

やったこと

  • はてなブログに予約投稿
  • Github ActionsでこのブログのRSSを取得
  • 新規エントリがあったらntfyで僕のiPhoneにプッシュ通知を送信
  • プッシュ通知を開くとTwitterの投稿画面にテキストとURLが既に入力された状態で開く
  • あとは僕が「ポストする」をタップすると投稿される

上記運用で落ち着きました。「テキストを打つ」「URLを拾ってきて貼る」というのがだるかったので、全部入った状態で投稿直前の画面を開くようにした。初回の稼働がこちら。

テキストの部分はかつての公式シェア機能の文言をそのまま使ってます。なんか懐かしかったから。システムの全体像は上記の通りなんですがこんな感じです。

やや古いところもあるが基本はこれ(画像はGPTに出させた)

Github Actions

.github/workflows/check-blog.yml で、cronを走らせるタイミングと頻度を定義している。最初は図示の通り「常に10分ごと」で設定していたんだけど、Github Actionsの実行タイミングにムラがありすぎる&僕は予約投稿するときJST9:00にしか設定しない*3ので、現在は「毎日JST9:00 ~ 9:30まで3分ごと*4」に実行するように修正してある。

次に3分ごとに実行される内容として check_feed.py でRSSの最新エントリと state.json に記録されている前回のエントリを比較する。そこで異なるURLだった場合は新着エントリと判断し、タイトルとURLを取得してntfyへ

"はてなブログに投稿しました #はてなブログ\n"
        f"{title} - ときどきDJ\n"
        f"{article_url}"

という通知を送信する。そして通知後、 state.json を最新エントリの内容に更新する。

ntfy

ntfy.sh

オープンソースのプッシュ通知用のソフトウェア。こちらのiPhoneアプリを自分のiPhoneにインストールして、ntfy内でTopic*5を作りその内容をGitHub Secretに登録する。

こんな感じで入れる

このモザイクかけてる部分が実際にいれたTopicで、この内容をGithubのSettings -> Secrets and variables -> Repository secretsにNew repository secretsで NTFY_TOPIC として登録。すると新着エントリを検知した際にGitHub Actionsからntfyへデータが渡り、僕のiPhoneにプッシュ通知が飛ぶ*6。それをタップするだけでTwitterの投稿画面にテキストとURLが載った状態で開くという仕組み。

モザイクかけた意味ないけどこんな感じ

なので僕がやることはプッシュ通知が飛んできたらタップして「ポストする」をタップするだけになりました。

が、

Github Actionsが思いの外ちゃんと時間通りに動いてくれないというトラブルが発生。 トラブルって言っても無料で動かせるcronだからそこまで期待しちゃだめだよというだけではあるんだけど。とにかく投稿時間付近でちゃんと動いてくれないのがわかったのでここで振り出しに戻ってしまいました。なので珍しく今回は前編として、その後AIと相談の上Github Actionsじゃない仕組みで当初やりたかったことを実現しにかかります。そのため前編として今日はここまでで、その後いかに改善を図ったかの後編は多分明日出します。間に合えばね。

*1:X APIの仕様/料金体系変更

*2:一昔前は公式の自動シェア機能があったからあんま意味ない

*3:たまにミスってるときもあるが

*4:GitHub公式にもscheduled workflowは高負荷時に遅延/ドロップする場合があると明記されているので

*5:推測されにくい文字列で入れてください

*6:通知後、state.json も最新エントリの内容に更新される

エッセー「君たちが決めること」

先日東京には台風の影響で大雨の予報が出ていた。週末の雨模様の中、昼過ぎには豪雨になると聞いていたので起きてすぐにジムに行く。幸いにも午前中はそこまで雨もひどくなく、「運動終わって帰り道で土砂降りになったらどうしよう」という懸念も杞憂だった。どうせ午後から外出しづらくなるのであれば簡単な買い物くらいしていこうと普段と違う道で帰路につくと、妙に往来に人が多い。どうやら近所の高校で文化祭をやっているらしい。

長くて金土日、おそらく土日の2日開催なんだろう。つまり日曜日の今日は文化祭最終日なんだろうなと想像する。せっかくの文化祭最終日、午後から大雨の予報とは不憫だなと思った。しかし、遠巻きに見ている限りでも学生さんはテキパキと動き、来場者も楽しみにしていることがわかる表情で歩いている。ああ、そうだな。午後から大雨になる、なんて「今日、この日を楽しみにしていた人たち」にとってはなにも関係ないんだ。

大好きな映画/小説に『この夏の星を見る』という作品がある。2020年のコロナ禍で、行動を物理的にも精神的にも制限されたあの年に、そんな状況でも天文を通じて精一杯やりたいことをやれるように学生/教師が奮闘する青春物語だ。この作品の映画にはこんなキャッチコピーがついている。

かわいそうな世代かどうかは、
私たちが決めること。

僕はこのキャッチコピーが大好きだ。外から見ると「かわいそうだね」と言ってしまいそうな状況であっても、本人たちにとってはかけがえのない時間であることは変わりない。悔しいことがあっても、それも含めて思い出なんだと思う。感情はあくまで自分のもので、他の誰かのものではない。もちろん天災などで中止になってしまったらそれはとても悔しいだろうし悲しいと感じることもあると思う。ただ、その気持ちは君たちだけのものだ。

また他人事として言ってしまうが、もし大雨で大変なことが起きたりしても心身さえ無事であれば、数年後に集まったときに「あのとき大変だったね」「でも楽しかったよね」なんて会話ができるかもしれない。その時悔しくても「悔しかったけどいま思うと楽しかった」と振り返れるかもしれない。僕はとにかく人や物に被害がなく、無事に文化祭が終われることを願いながら道路の反対側を通りすぎる。大雨が予報された文化祭最終日をどう過ごして、どう感じたか、それは君たちだけが決められることだ。

『リターン・ザ・ギフト』『スイス時計の謎』観たしなんならアガサ・クリスティ『ローマ帽子の謎』も読んだ

以前『メルカトル・ナイト』ってHulu限定のドラマを観ましてね。それがHuluオリジナルコンテンツの「ミステリーシネマ」ってシリーズらしいんですよ。

news.hulu.jp

で、じゃあ他のも観るか〜ってまさかの『メルカトル・ナイト』が3作目で他の2本の方が先に出てんすよ。全然知らなんだ。まあただ『メルカトル・ナイト』は麻耶雄嵩先生、『リターン・ザ・ギフト』は法月綸太郎先生、『スイス時計の謎』は有栖川有栖先生の作品なので当たり前だけど順番は特に関係ないので問題ないです。観たろうじゃんということで観ました。3作目から観ちゃったからせっかくなんで全部逆の順で観てやろうじゃんってわけ。ちなみに「シネマ」って銘打ってるシリーズだけど1本1時間あるかないかなのでそんなにぶっ通しで観たって感じでもないです。

『リターン・ザ・ギフト』

  • 好きなんだよな〜法月親子
    • 思ったより法月貞雄がめちゃくちゃ振り回されてる感があった*1
    • 逆に法月綸太郎は結構明るくねっとりした人間として描かれてるように見えた
  • 役者もよかった
    • 田辺誠一さんはさすが、矢本悠馬さんは存じなかったけどかなりよかったです
    • あと意外(?)と戸塚祥太さんすげーよかったな
      • こういうこと書くときいつも言いますけど優劣とかではなく好き度の話
  • あからさまな誘導としての「交換殺人」が提示されるのでこれは絶対違うだろとなった
  • 捜査のために図書館で利用者情報取りに行くの「図書館の自由に関する宣言」知らんのかってちょっと笑った
    • 関係ないけど沢田穂波*2の長身ショートカットメガネが好みすぎる
  • 容疑者が居酒屋/カラオケで会話する回想シーンの背景に法月親子がいる映像演出めっちゃ好き
  • オチについては完全に法月綸太郎先生お見事!って感じ
    • ただ、切ない話ではありますね
  • これを54分でまとめんのすげーってなった

『スイス時計の謎』

  • 映像美!!って感じ
  • 作家アリスシリーズは過去にテレビドラマ化もされてるけど個人的にはこっちの方が好きだった
    • 満島真之介さんもよいんだけどなんといっても柄本時生さんが最高!
  • 偽美少女アリスいじり、よすぎる
  • 社会思想研究会のメンバーが絶妙なキャラ設定
    • イヤすぎるわけではないんだけどちょっとイヤ、でも悪いやつでもない*3、みたいな
    • あとラランドニシダさんが出てきてビビった
  • 時代的にちゃんとガラケー使ってたりしててよい*4
  • 関係ないけどお好み焼きが美味そうだったの今度大阪行ったら絶対お好み焼き食べようと強く誓った
  • 見事なまでの論理展開でやっぱりこの手のタイプのミステリは気持ちがいいぜと思う
    • ただ実在の人間は「わけわからんこと」を平気でするから複雑なんだよな
    • 後期クイーン的問題第一の問題的な
  • まさかここで永劫回帰の話が出てくると思わなかったぜ
    • 若干「そういう話か?」と思わなくはないが
  • ラストシーンよすぎ!
  • 全編通してシネスコ最適化された構図がめちゃかっこいい*5

と、それぞれよかったし個人的には『スイス時計の謎』が映像美でめっちゃ好きでした。話は戻りますが「ミステリーシネマ」の配信開始順で行くと『スイス時計の謎』→『リターン・ザ・ギフト』→『メルカトル・ナイト』の順なので、『スイス時計の謎』でエラリー・クイーンの名前/スタイルを使って『リターン・ザ・ギフト』で実際にエラリー・クイーンスタイルの二人が事件を解決するという非常にきれいな流れだったんですね。ただその次の『メルカトル・ナイト』は多分そういうおしゃれなパスはないです、メルカトル鮎が異質すぎるので関連づけられるわけねーだろ*6。それは置いておいて、エラリー・クイーンです。こんなおしゃれなことやられたら元ネタ読むかーとなって読みました。正味あんまり読んだことなかったんですよね。

ローマ帽子の謎

名作古典なのであらすじは各自調べてください。結論おもしろい*7です。エラリーの飄々として特に皮肉っぽいのにちゃんと父親を信頼してるんだよなって感じとか、リチャードはやっぱり人に信頼されるだけある人格者だなと思える感じとか。正直ラストの読者への挑戦については「これで全部材料揃ってるって言えます?」という部分もなくはないが、僕が結構ガーッと読み進めていたので見落としただけかもしれないです。まあでもさすがっすね。ちゃんとおもしろいし、逮捕シーンの臨場感からの真相解説パートの論理構築が緩急もあって非常に気持がよい。ただ一個苦言を呈するなら井上勇訳/創元推理文庫版を読んだんだけど昔の文庫は字が小さくてぎっしりですね。一応400ページくらいなんだけど現代の組版だったら500ページくらいになるのでは?と思ったりもした。まあそれだけ読ませる内容だし、さすが名作古典ミステリ、読んで損はないです。

いやー観たし読んだぜーって思ってたんですが、ここで冒頭に立ち返ります。

以前『メルカトル・ナイト』ってHulu限定のドラマを観ましてね。

えっ

感想エントリ書いてなかったすね。

マジかよ〜、もしかしたらいつか書くかもしれません。それではさようなら〜。

Huluの履歴見たら3ヶ月くらい前に観てた

*1:小説でもそういうところあるけど結構芯がしっかりしたキャラの印象だった

*2:井桁弘恵さんとのこと

*3:推理シーン最後での神坂とか、野毛とか

*4:阪神優勝のニュース音声的に2003年が舞台

*5:あと音楽もよい

*6:強いて言うなら「変わり者探偵&作家の助手」という構図?

*7:名作古典なので当たり前である

澤村伊智『すみせごの贄』読んだ

前回、既に読み始めていると書いたとおりで読み終わりました。こりゃあいいや。理由は後述します。

本物の“贄”は誰かーーいきなり文庫の比嘉姉妹シリーズ短編集第3弾!
怖いのにおもしろい! 大人気比嘉姉妹シリーズ、短編集第3弾!

この後に各篇のあらすじがあるんだけど、なんか全6篇なのに3篇しかあらすじないんですよ。

どうしようかねこれ。あるやつだけ引用するか。

たなわれしょうき

いじめによって不登校になった中学2年生の翔太は、父の仕事の関係者である野崎昆の滋賀県での取材に同行することに。その土地では鍾馗の像を門柱に置く習俗があり、手が四本あるその独特な鍾馗は「たなわれしょうき」と呼ばれていた。翔太は取材中に不気味な影を目撃し、その夜、物言わぬ影に襲われる。この地には 「ナニカ」がいるのだろうか――。

まず、初手から皮肉屋でありつつ根が真面目で優しい野崎が見られて最高です。あらすじの通り不登校になった少年を引き連れて滋賀に取材に行く野崎なんですが、要所要所で「年齢とか気にせず誠実である」というところが垣間見えてやっぱいいやつだなこいつってなります。基本皮肉屋だけどね。この話は基本的に「人間は愚かだなぁ」という感想でした。「たなわれしょうき」ってのはかつてこの辺りの地域で起きた悲惨な事件で死んだ男の怨霊から身を守るための厄除け装飾のことなんだけど、まずこの悲惨な事件ってのが人間が愚かポイント1。ネタバレになるので書けないけど「ナニカ」についてが人間が愚かポイント2。既にだいぶ人間が愚かです。そしてあまり詳細は言えないけど今回の短編集通して「怪異の真相はロジックで解決できる」->「なんだそうだったのか......」-> うぇーい って感じの話が多めでよかったです。

あと野崎崑というペンネームは「ノザキのコンビーフ」から取ったってのはなんかで出てきてた気がするけど、今回稲葉編集長がそれを気に入って稲葉鯛鰈(いなばたいかれー)というペンネームで書いていたことがあるというエピソードが出てきた*1のがかわいくて好き。

戸栗魅姫の仕事

公式のあらすじにないやつです。でもたしかにこれあらすじ書きづらいな。

ざっと書くと、霊能系YouTuber戸栗魅姫こと波多野朱莉が曰く付きの旅館で無限回廊のような怪異に迷い込んでしまい、居合わせた珠美という少女と一緒に脱出を試みようとする話。この話のキーワードは「嘘」なんだけど、なんだかやるせねえなとなってしまいました。まあ基本的には嘘はついた方がよくないと思ってるんですけど、結局のところなにをもってそれを嘘であると言い切れるかはかなりケースによるというか、事実に対して真偽をつけることはできるけど「紛れもなく事実である」と断定するのってそんなに簡単じゃないんですよね。ましてや昨今SNSなどで出てくる情報なんてなにを信じていいかわからん世の中になってしまったので、この話はかなり現代社会に対するカウンターパンチな気がします。

ちなみにこの話には琴子が出てくるのでガッツポーズして読んでたんですが、最終的には琴子がパワープレイで解決するのではない結末になったので結構びっくりしました。なるほどこういう引き出しもあるのかと。最後の戸栗魅姫が腹くくった感じも、結びとして爽やかながら人間の力強さを感じてかなりよかった。

火曜の夕方の客

比嘉真琴に持ち込まれた相談事。とあるカレー専門店に、毎週火曜日に不思議な客がやってくるという。彼女は1000円札でカレーを二人前買い、一口だけ食べるとすべてを持ち帰るらしい。不思議に思った店主が後をつけると、彼女は墓地の近くで姿を消した。この客の正体は、“幽霊”なのか――。

端的に胸糞悪い話ですね。まず客の正体*2がすげー嫌。ネタバレになるから言えないけど、客自体が嫌なわけじゃなくて、この客を取り巻く全ての状況が嫌と言った方が正確かもしれない。この話、ネタバレ回避したら書けることなんにもね〜。 まあ強いて書くとしたら、このカレー屋、「幽霊も食べにくるくらい美味しいカレー」として繁盛するんですよ。そこで店主が欲出しちゃうんですよね。あるキャラが火種ではあるんだけどそいつは善意寄りというかあくまでマーケティングのつもりで入れ知恵したら店主がちょい調子乗ってしまって大変なことになった、みたいな感じなんですけどやっぱり基本的に君子危うきに近寄らず/触らぬ神に祟りなしってのは原理原則だなと思いました。最後の一段落でさらっと終わって*3ちょっと笑いました。いや決して笑える話ではないんだけれども。

くろがねのわざ

フリーの編プロ谷村くんが特撮マニアから酷評される映画『惑乱の夏』について、あるいはその映画で特殊造形を担当した孤高の芸術家「鉄成生」について調査を進める話。映画『惑乱の夏』は昔ヒットした映画で世間的には名作と言われているものの、特撮マニアからボロクソにこき下ろされていて、その原因が孤高の芸術家「鉄成生」が芸術(特撮での高度な特殊造形)ではなく売れ線の映画の仕事を優先して受けたから*4だと。ここまではまあ現実でもありそうって感じだが、ボロクソにこき下ろされるもうひとつの理由が「鉄成生を褒めると身体に支障をきたす、しかし鉄成生を貶すとそれが収まる」という奇妙な現象ゆえ、というのが本筋になってきます。これも嫌な話だったな。なにが嫌かって基本的に悪いことした人いないんですよ。自業自得感が誰にもなく、だからこそ純粋な想いが怪異にまで昇華されてしまった、みたいな感じがしてやるせない。これも珍しく、琴子&真琴が駆けつけるも最後の決断が語られないという幕引だったのが新鮮。あ、ちょっと話それるけどゴジラの芹沢博士の話で締めようとするあたりが一貫して特殊造形の話をメインにしててよかったです。

とこよだけ

先輩ライター築井さんと一緒に、何人もの行方不明者を出す無人島に取材に行く野崎と真琴。頭痛に悩まされ、カメラにも特に変わった様子は映らずどうしたもんかと島を散策していくうちに、かつて行方不明になった人物の手帳を発見する。手帳を読む限り、どうやらこの島に入ってから「本来見えないはずのものが見えている」らしいことが伺える。が、そのとき先輩ライター築井さんの様子もなんだかおかしくなり.....?みたいな話。

これ、完全にやられました。

いやさすがにあれだけ当然のように網を張り巡らされたら気づかんですよ〜(ネタバレになるので具体的なことが書けない)。もちろんね、読み直せば明らかに「ここも、ここも、そういうことかい!」ってなるんだけど。この話もわりと「なんでかわからないけどそうらしい」みたいなふわっとした終わり方なんだけど、多分これは怪異がどうこうというよりも野崎と真琴の二人に焦点が当たってるからあえて怪異の謎を薄くしたんじゃないかな〜と勝手に想像してます。ただ、最近ちゃんと張ってある伏線を拾えてないことがちょいちょいあるので単純に僕がちゃんと読み切れてないだけかもしれないが。いずれにせよ早く真琴がどうなるのか見たいので続きが気になる。気になる!!!

すみせごの贄

ある日「外出する」と言ったまま失踪した高級料亭の元料理長の男。彼の料理教室に通っていた生徒たちや、アシスタントを務める娘によると、失踪前から奇妙な“予兆”があったらしい。生け垣から覗く不気味な人影、傷つけられた門柱の表札、男が教室で零した「すみせご」という譫言。代理の講師として教室にやってきた一人の女が解き明かす真相とは――。

最初に言っておきます。一人の女、辻村ゆかりです。ひゅー!

あと例のごとく嫌な話です。辻村ゆかりが出てきて嫌な話じゃなかった試しがない。序盤のわりとほんわかした描写の節々に「絶対これ嫌なやつじゃん」という匂いがプンプンしてて最悪でよかったですね。特に、料理教室の面々の無自覚な態度*5が一番嫌だったかもしれない。正味材料がかなり大盤振る舞いされているのである程度の真相はわかるんですが、わかっていたって嫌なものは嫌。やっぱり人間は愚かです。そういうところを辻村ゆかり怒りの正論パンチでぶちのめしてくれるのはなかなかに爽快だったんですが、「たなわれしょうき」で書いた「怪異の真相はロジックで解決できる」->「なんだそうだったのか......」-> うぇーい って感じで最高でした。よく考えたら「このパターンが多め」って書いたけど「たなわれしょうき」と「すみせごの贄」の2つだけだったわ。すみません。

やっぱり澤村伊智先生は短編になると切れ味がすげーんですよね。長編/中編での綿密な構築もすごいんだけど、短編だと大外から一気にぶっちぎる勢いで物語が描かれるから全く違う気持ちよさがある。昨今ドパなんちゃら*6って表現がありますけど、短時間でテンションぶちあげたいなら澤村伊智先生の短編を読んでください。「とこよだけ」の感想で書いた通り続きが気になってしょうがないんだけど、ここのところ2冊続けて読んでいるのでさすがに一冊なにか別の本を挟むと思います。でも気になる......気になるなぁ......。

*1:これもなにかで出てきていた気がしなくもない

*2:というより客がそうなった原因

*3:ダブルミーニング

*4:かつ『惑乱の夏』での仕事はクオリティが低かった

*5:と言葉

*6:あまり好きな言葉じゃないので書きたくない