ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

『ドラえもん のび太と空の理想郷』

結果かなりの高評価をつけたいと思った。内容はディストピアSFそのもので、きちんと怖く作ってあって細部の丁寧さが感じられる。逆に気になったのは大枠の方。三賢人の裏にいるマッドサイエンティスト博士がちょっと取って付けた感がある。宝島のときの父親は「妻を亡くし、荒廃した未来の存在を知ってしまったから」というバックグラウンドがあったから動機として納得感があったが、今回のマッドサイエンティストについてはそういうものがないので「そこまでするか?」みたいな印象を持ってしまった。だったらいっそ三賢人が「あらゆる可能性を計算した結果、人間は感情が無い方がよいと判断した」の方が怖くてよいと思う。まあ昨今のAI事情を鑑みるにそういうオチはややリアルで避けたほうがいいと言われそう*1というのもなくはないが。

ただ細かいところはかなり好みで、ユートピアっぽく見せているカットでも微妙に不協和音を差し込んでいたり、初手で魔界大冒険よろしくの「映画序盤の時間軸と後半の時間軸の交わり」が入っていたり、ちゃんと面白かった。あとソーニャの最後はリルルみたいになっちゃうのかとドキドキしていたけど最終救いがあってよかったね。ドラえもんが悲しまないで済むよ。あとマリンバの元のキャラデザが普通に好き。よい映画でした。

*1:言われたとして映画なんて数年前から作ってるから変えるなんてできないだろうけど