昨年からのコロナ禍により外出する機会は確実に減っている。そういう制約があると動きたくなるもので、写真が撮りたい欲がずっと高い。いま手元にあるのはPenFT。この間フィルムの値段を調べたら、僕が一番撮っていた時期に比べて1.5~2倍くらいの値段になっている。しかも今は自家現像設備もないから更に割高になることがわかっている。そうした時に、今までずっと好きで撮っていた「フィルム」が「手を出しづらいもの」になってしまったことに気がついた。では気軽に撮りづらくなったフィルムに固執するのではなく、デジタルに一部移行するのも一つ手ではないかと思い始めた。もちろんフィルムで全く撮らなくするわけではない。フィルムが日常から離れてしまっているのであればその日常にデジタルを加えようというだけで、フィルムが生産中止になるまで僕はずっとフィルムで撮り続けると思う。機会が減ったとしても。
で、デジを買うにしてもどうしていくかという話。
検討してる機材
今までデジタルではNikon D700をもう10年くらい使っているのだけれど、趣向を変えたいなと思ってる。今まで強く考えていた「既存資産(主にレンズ)を活用できること」については一旦考えなくてもいいかもと思っている。結局未だに手元にある(か実家に置いてある)ものは、使ってみてそれが気に入っているものなので可能な限り使い続けたいけれど、それだけに縛られると八方塞がりになる。なので、趣向を変えるプランも検討していきたいという次第。
Sony α7 Ⅱ
今まで基本デジタルはNikonだった*1けど、いっそマウント変えてしまうのも気分転換になるかなと思う。ミラーレス自体に全く興味がないのは今も変わらないのだがα7は評判がいいし、ツァイスも使えるだろうし(使えるよね?)。結局ツァイスレンズが使えればなんでもいいと言えばいいのだが、そうしたら小型の方が持ち歩く頻度上がるだろうし消去法的にα7ありだなと思った。レンズを揃えるのにいくらかければいいのかは全く検討ついていないが。最新機種じゃないのは単に動画撮影機能がいらないから、というだけの理由。使わない機能を搭載している必要はない。
Phase One P20+
ツァイスが使えればいい、といったもののとにかくハッセルが使いたい*2のである。500C/Mが使いたい。だからといって気軽に数百万支払えるほど金持ちじゃないし、なによりプロの広告写真家じゃないので最新のスペックが必要なわけでもない。ということで10年以上前のデジタルバックでもいいのかもと思い始めた。なんとなく中古相場見る感じ25万くらいあれば買えるっぽいので全然ありかなと思ってる。問題はソフトウェアがどこまで対応しているかで、古いMacを持ってこないと現像できないとかだとキツイ。ちょっと調べた感じ最近も使ってる人のエントリをちらほら見かけたので大丈夫だとは思うが決して安くない買い物になるので慎重に検討したいところ。
Hasselblad CFV-50
ハッセルが使いたいのである(繰り返し)。P20+は値段的に手が出しやすい一方でシンクロケーブルがないと撮影できないとのこと。僕の中で「ハッセルを使いたい」というのは「(フィルムで撮ってたときと同じ)ハッセルを(今までどおりの所作で)使いたい」なのだ。もちろん遮光板を引き抜く作業がないとかはもちろんいい。なので今までの動き方でハッセルを使えるCFV-50は非常に魅力的だ。 唯一懸念があるとすればCFV-50は旧型機であるけど中古でも50~70万くらいするところ。結構決意しないと出せない額である。まあこれが検討に挙がったのは「今までフィルム時代にランニングコストいくらかけたか(カメラ、レンズ、フィルム、現像液、印画紙、その他引き伸ばし機や暗室設備etc)考えれば安いもん」という経緯ではあるのだが。デジタルも永遠に使えるわけではないので何年使えればいくらくらいという査定のもと検討していこうと思う。
Ricoh GRⅢ
急に小型化。中判デジタルバックの180°逆を行く考え方。もとからGRは好きなんだけどデジタルでのGRは昔友人に借りて使ったGR DIGITALⅡで止まってる。DIGITALが付かないGRはAPS-C積んでるし、評判もよい*3。ポケットに入れられる大きさでスナップシューティングできれば使用頻度は今まで挙げてきた候補の中でもダントツで高まると思う。少しだけ気になっているのはやはり広角なのでどういうものが撮れるか(撮りたいものの幅がカバーできるか)だ。作例を探せばポートレートも出てくるけど、バストアップでブチ抜きとかは流石に撮りづらいだろうし、単焦点ゆえの制約とどう付き合っていくかが肝になりそう。そう考えるとα7なりデジタルバック&中判なりにプラスでGRⅢという選択になりそうな気もしてる。
何が撮りたいのか
昔からずっと模索しているのだけれど一定の答えは出ている。本当に写真を始めたばかりの頃は風景ばかりを撮っていたが、ある時を境に「風景と生き物(人やそれ以外の生物を問わず)」ばかり撮るようになった。ポートレートはあまり得意じゃないし、人だけを撮ることは少ない。風景を撮るのは好きだけど風景のみだと物足りない。そう考えて生き物と風景を撮ってきた。おそらくだが、そこに生き物がいた時間/空間を撮りたいのだと思う。なにかが生きた軌跡というか、滲み出た生みたいなものが撮りたい。それがスナップであってもポートレートでも表現方法はなんでもよくて、「そこに生きていたんだ」と思える画が撮りたくてずっと撮ってる。そんな写真がもっとも取りやすい機材と環境を揃えていきたい。