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『ビリーバーズ』観た

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正直、年の初めに感想を書くコンテンツか?という自問自答はある。昨年観たので年始から観ていたわけではない*1

山本直樹という方の名前は以前から存じていて、主に『レッド』の著者として認識していた。『レッド』の印象としては社会派漫画家なのかなと思っていたのでちょっと調べて成人漫画も描くということで結構驚いた記憶がある*2。本作『ビリーバーズ』はその成人漫画方面の作品の実写映画化版。基本的にカルト宗教を扱った作品が好き、というのと単純にTwitter見てたら「配信解禁になりました」という紹介ツイートが流れてきて興味を持ったから。ちなみに僕はNetflixで観たけどアマプラにも入ってます。

あらすじはwikipediaとか読んでもらえれば十分だと思うのでこと映画の方の話に注力させてもらうが、兎にも角にも「異様」という感じだった。言葉の端々から感じ るオカルトっぽさと不穏さが結構よく、序盤はかなり引き込まれた。ただ注意してほしいのは本作PG-15指定だけど15でいいのかってレベルで性描写が強い。知らないで見てたんだが監督もロマンポルノの監督が務めてるとのこと。そういう描写が苦手な人は要注意だが、個人的にはめちゃくちゃ「よくできている」と感じた。画作りが力強いし、人間の欲に対するリアルさ*3が全部映画に込められている感じがする。ラストの教祖が集団自殺を促すシーンも、公安の突入からの銃撃戦&演奏隊の演奏も、「嫌さ」と「コミカルさ」がいい塩梅でぐちゃぐちゃに混ざっていて「人間ってやっぱわけわからん存在だな」という謎の納得感がある。

前半のオペレーターが議長に緊急提言を促すシーンはゲラゲラ笑ったし、議長が腹を下して死にかけるシーンで「潮目変わったな」と思ったし、オペレーターが副議長を性的な目で見るシーンはあまりに描き方が官能的*4だったし、議長が「明らかにこいつ調子に乗り出したな」と感じる流れも絶妙だったし、それぞれのカットがそれぞれのよさを持ってる。ていうか副議長役の北村優衣さん体当たりすごすぎ。普通の覚悟じゃあの役はやれないし、やりきれないと思う。磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平、全員が素晴らしい演技でした。あと最後のオペレーターの釈放要求のオチも個人的には好き。最終、「人間なんて汚え存在にはこういう結末がお似合いだよな」となってよかったです。人に勧められるかというとあまりに性描写が生々し過ぎるので勧めはしないと思うが、おもしろい映画観たなという感想でした。いずれ機会があれば原作も読んでみようと思います。

よく考えたら『おくりびと』の滝田洋次郎監督もロマンポルノ出身だし、芸術映画としてロマンポルノ映画を観てみるのもありかもしれないとちょっと思った。履歴が恥ずかしい感じになるのは避けたいので観ないと思うけど。

*1:なんの言い訳かわからんんが

*2:といっても山本直樹さんのことを調べたの自体十年以上前の話だが

*3:あくまでフィクションなんだけど「欲って基本汚いよね」ってところが叙情的に描かれてると感じた

*4:エロというより美しさが際立つ