ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

恒川光太郎『滅びの園』読んだ

本当にこの人の頭のなかどうなってるんだって著作読むたびに思っている気がする。『夜市』とかはまだわかるんですよ、日本の話っぽいので。なぜこの「存在しない世界」をここまでディティール細かく描けるのか。本当におそろしい、すごいとしか言えない。

あらすじは、ブラック企業勤めのサラリーマンがなんか気づいたらよくわからん駅に着いてしまって、どうやら元いた日本じゃないらしいが妙に居心地がいいし色々不可解だけどあまりに都合がよすぎる土地だったので定住してしまったところから始まる。その先を言うとちょっとしたネタバレっぽくなってしまうので控えるが、最初のこの導入だけが唯一読んでてちょっと面倒なところ*1。これ以降がすげーんですよ。特に相川聖子の解像度が高くてやばい。というかあらゆる登場人物が非常に人間的で、終末期は本当にこういう思考になるんだろうな*2と思った。そういう意味では一番残酷*3な作品なのかもしれない。いろいろな最悪があり、最悪の中にもちゃんと希望があり、マジで「生活」って感じがする。あとラストのラスト、普通に最悪ですごくよかった。人間って最高に最悪だもんな。

*1:導入なんだからしょうがないだろと言われたら何も言い返せない

*2:突入前にいい感じになった女性(同じく突入者)と寝ちゃうあたりも

*3:現実を見せられている感があって