ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

『鏡の中の日曜日』読んだ

名探偵石動シリーズは『キマイラの新しい城』から読んでしまったので、やっとなるほどなという気持ちになってきた。『キマイラの新しい城』で石動が電話かけた先がきちっとはまって楽しい。序盤の文章はなんとも言えない気持ち悪さがあって圧巻だった。読んでて目眩がするような文章。殊能将之氏はバッチバチにロジカルな組み立てというほどの印象ではないけどわりとピシッと背筋の通る文章を書くイメージがあったんだが、この冒頭1章は本当に精神疾患とか夢の中みたいな幻想的な文章で、書き手の実力が伺いしれる。その他の内容については正味あまり特筆するほど刺さったところはなかった。石動/鮎井/水城まわりはおもしろかったんだけど、使用人の彼が逮捕されたのなぜ?となってしまった。いや、彼が自分の身を差し出すのはわかるんだけど水城がそれをそのまま通す意味がいまいちわからなかったというか。書かれていたような気もするけど気がついたら読み飛ばしてしまっていたのか、???という感じだった。酔っ払いながら読書をするのがよくない。

同時収録の『樒 / 榁』はわりとシンプルな話だった。なんかハルヒでこのトリックサンプリングされてたと思う。水城と石動のクロスオーバーが非常によかった。いろいろ設定が浮き彫りになって*1楽しかったです。あと殊能氏は「なんとなく嫌なやつ」を書くのが上手いというかディティールがリアルでよい。

*1:伏線ではなく開示されてなかった設定が明らかになってきた、という意味