北山猛邦『私たちが星座を盗んだ理由』読んだ

5本の短編が収録されてます。初手「恋煩い」、なんていうかこういう淡い恋愛ものみたいなのを読むことが普段ないから新鮮だった。ちゃんと思春期特有の危うさがあってよかった*1。占いとかまじないみたいなのに手を出した経験はないけど「まあそういうことやっちゃうよね」みたいな漠然とした納得感がある。ただ、海野うんぬんを放り出して「みんな大好き江戸川乱歩、人が一番怖いっていうタイプのホラー」で終わっちゃったのはちょっと残念だったな。逆に「妖精の学校」はずっと「わからない......」という感じのまま進み、最後の座標はめっちゃよかった。なんとなくググってmapでみたらわりとマジで声出してしまったくらいにいい感じ。で、また「嘘つき紳士」で最後の最後にそっち行っちゃうかという感想。なかなか作者と波長が合わない。波長が合わないだけで面白くないわけではないが、僕にはハマらなかったという話。「終の童話」はずっと不穏でわりかしよかった。ちょっと恒川光太郎さんを感じるというか。表題の「私たちが星座を盗んだ理由」も結構よかった。負のピタゴラスイッチが好きなので。最後全然報われないのもよい。

めちゃくちゃ刺さるわけではなかったが全体的に良書という印象でした。ありがとうございました。