ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

最近読んだ本20230224

殊能将之『キマイラの新しい城』

探偵石動シリーズというものっぽい。殊能将之氏は『ハサミ男』しか読んだことなかったので読んだ。叙述トリックくるか......?と警戒していたらわりとストレートなオチだった。決してつまらないわけではないのだが『ハサミ男』ほど刺さるものはなかったかなという印象。ただこれ後述の「法月綸太郎シリーズ」とは逆に「シリーズ最終話*1」から読み始めてしまったから文脈が読みきれてないっぽくてそこは僕のミスだった。アミューズメント施設社長に中世騎士の亡霊が乗り移り、中世騎士が殺害されたトリックを探偵石動が解くという話。現代と中世十字軍の景色が交互に描かれるので画面が揺さぶられてよかったです。あとヒルズでのアクションシーンもよかったけどあれで乗り移られてなかったら逆に怖いわとなった。探偵役は石動よりも電話先の「先輩」の方が強いっぽいが、シリーズの頭から読まないとなんとも言えない。シリーズ最初の『美濃牛』もkindle unlimitedにあった気がするので読みたい。

法月綸太郎『雪密室』

我孫子武丸綾辻行人はすごく好きなのになぜか法月氏の著作は読んでなかったので読んだ。というか今までずっと「ほうげつりんたろう」だと勘違いしていて、これを読んだ時に初めて「のりづきりんたろう」だと気づいた。大変失礼しました。そして狙ったわけではないが偶然にも「法月綸太郎シリーズ」の初手に手を出していたらしく、そこは中途半端にシリーズ途中から読み始めることにならなくてよかったなと思った*2。探偵役は二人いて、小説家の法月綸太郎とその父の法月貞雄警視。基本重要なファクターには倫太郎が気づくが警視自身も結構推理する。人間の嫌なところが撒き散らされていてドラマがあってよかったです。次は『頼子のために』を読む予定。

矢樹純『或る集落の●』

「このミス」作家、矢樹純氏初のホラーとのこと。ミステリーの方より先にこちらを読んでしまって申し訳ない気持ちがちょっとある。4つの短編からなる短編集なんだけど初手から最悪でなかなかよかった。正体がわからないものに対する根源的な恐怖みたいなものがずっとつきまとう。すべての話がゆるく繋がっていて、全部後味悪い終わり方をする、というさすがミステリ作家の作品*3だなという印象だった。それぞれの短編を読み進めて行くたびに「こいつ、つまりあの話のあいつか?」みたいな感じでぐんぐん読める。おもしろかったです。いい(?)終わり方したの雪田だけだったな。他の作品も読んでみたくなった。

*1:正確には最終話ではなく、著者生前最後の「最新話」

*2:今「法月綸太郎シリーズ」でググったら軒並み『雪密室』から読め!という記事ばっかでてきて驚いた

*3:辻褄の付け方が上手いというか