ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

最近読んだ本20230317

なんか読書スピードが出なくなった気がする。なかなか読み進まないし終わらない。決して読書が楽しくないわけではないんだけども。

滝川さり『おどろしの森』

まっとうなホラーもの。エンタメですね。新築で買った家が呪われてた家族の話。設定が結構凝っていてよかった。呪いの感染源も面白いし、パパ活という時事ネタっぽい要素も含まれており「最悪」の作り方がよい。能力バトルっぽさもあるけどキャラが立ってるのでサクサク読める*1。ただ常に「なんか嫌な感じ」が漂うホラーらしいホラー小説だった。最終みんなハッピーになってよかったね。

殊能将之『美濃牛』

これは以前『キマイラの新しい城』を読んだときにも書いたが、シリーズものを1作目以外から読んでしまったので、立ち返って1作目を読みたかった次第。なんかだいぶ石動の印象が違うな。『キマイラの新しい城』では「わりとコミカルでちょっと抜けているところのあるキャラクター」だったように感じられたが、『美濃牛』での石動は「ミステリアスなトリックスター」という印象を受けた。お話としては美濃で起きた連続殺人を解いていくだけなのでシンプル。そんでもってちょうどいい最悪加減。羅堂家みんな最悪で、唯一最悪じゃない窓音も怖え。

殊能将之黒い仏

こっちは一気に読み切った。ていうか急にクトゥルフものになったんだが。一体なにが起きた。面白かったけどミステリというよりはクトゥルフ。まあ『美濃牛』でもここまでではないけど超存在的なのいたから全く文脈がないわけでもない。探偵ものってこういうのもあるのか、という意味では新体験だった。そしてこちらの方が最初に抱いた石動像に近かったです。あとアントニオの名前の由来が判明してよかった*2。この調子で『鏡の中は日曜日』もkindle unlimited入ってたはずなので読もうかな。

浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』

これも書きぶりが軽妙で一気に読めた。最近ではトップ速度で読みきったと思う。なんなんでしょうね、スラッスラ読める文章とそうでない文章の違いって*3。連続して3人もの生徒が自殺した高校の、根暗サイドの高校生が主人公。ちなみにこれも能力者もの*4。めちゃくちゃ青春で、めちゃくちゃ陰鬱で、最後希望で終わるという大変なエンターテインメントだった。特に後半ことごとく希望を叩き割っていくのに最後の最後でキレイに捲くりあげるのがすごすぎ。

*1:精神的に、という意味で前述の通り読み終わるのに時間はかかってしまったが

*2:まさかこっちが能力者だとは思わなかったが

*3:念の為言っておくけど、どっちがいい/悪いとも思ってない

*4:あとがきで知ったんだが、「特殊設定ミステリ」というジャンルになるのね