表題の通り。僕はここ10年くらいモバイルやオンラインのゲーム開発/運営のディレクターとして仕事をしている*1。といってもここ数年は経営者になってしまったので実務としてディレクターをやるという機会は減ってきていて、基本的には付き合いのある会社との開発のときにサブのディレクターとして第三者目線でコメントしたりするくらいが多い。
最近また新たに運用タイトルの外部ディレクター*2として薄くみているのだが、先方のディレクターやリードプランナーが「なぜその判断をするのかわけがわからん」ということが度々あった。そこで表題のことを考えていた。聞くに、ディレクター/リードプランナーは開発後期からジョインして、運用しながらラーニングしている状態だという。だから僕に外部ディレクターとして声がかかって、自走するまでの間しばらく面倒を見てくれないかという依頼というわけだ。
あまり細かいところまで口を出すと自走できなくなるおそれもあるし、二人の顔も潰してしまう。そのため大枠の概念的なところをインプットして、噛み砕いたものを再度こちらにだしてもらいレビューする、みたいなのを続けているんだけれどなぜか意図のわからない判断をしてきてそれについてレビューを求められる。なぜだろうとしばらく考えていたがおそらく原因は二人ともこのゲームを理解できてないんだと思う。ゲームシステムの理解というのは筋のいい人*3ならすぐにキャッチアップできるが、二人はそれができていない。そのうえで「わからないなりに頑張ろうとする」からわけわからない判断をするんだろうなと気が付いた。
「わからない」と「わけがわからない」判断をしがち
これは実体験としてもある程度正しいと思っていて、僕も初めて運営ディレクターをやった*4ときに、なんとなくゲームの勘所を理解しているつもりになっていろいろ判断していたら、実のところお客さんの遊び方を全然理解していなくて「わけわからない施策」を度々やってしまった。もちろんお客さんからお叱りもたくさん受けたし、なんで自分はこんなに色々なことができないんだと落ち込んだりもしたが、最終的に「お客さんに楽しんでもらわないことには売上なんて立てられん」と思い立ち社内のヘビーユーザに相談したりアンケートをやったりして、1年くらいかかったけどようやくお客さんも許してくれる状態*5に持っていくことができた。毎日のように次の施策や新規機能追加の相談を社内ヘビーユーザに持っていき、「えっなんでこんなことするの?」と聞かれ、僕のかんがえたさいきょうのしさくのロジックを説明すると、「たしかに筋は通ってるけど、だれもそんなこと望んないよ」と返され白目になったりを繰り返して時間がかかったけど体得した*6。 だから「わけがわからない判断」を脱するにはまず「自分はこのタイトルを理解できていない」ということを自覚し、理解できている人を近くに置くか、自分が理解できるように努力をすることが必要だ。「自分は理解できている」と意固地になっても周りが振り回されるだけだし、なによりお客さんのためにもならない。つまるところ売上も立たないので会社のためにもならない。そうしたら運営できない。誰も幸せにならないのでそこは社会人として頭を切り替えるべきだと思ってる。ちなみに僕はこの取引先で先方社内のヘビーユーザ3人に1週間毎日2時間「教えてもらう会」を開いてもらった*7。申し訳なかったが時間を取って協力してくれたおかげでだいぶキャッチアップできたと思う*8。
という話をした。「こういうこと言うのめちゃくちゃ嫌だな」と思ったけど、外部のディレクターとして業務を受け持ってしまってるので致し方ない。そして話した内容とほぼ同じものを書いているため、二人が読んだら身バレするかもしれない。まあ別にいっかと思ってこれを書いている。
*1:と書いたが並行してたまにwebサービスやアプリのディレクターもやってるから何屋なのかわからないといえばわからない
*2:まあ平たく言えばコンサルタントみたいなもんをイメージしていただければと思う
*3:大概このタイプの人はゲーマーでかつ効率厨であることが多い気がする
*4:バックグランドを説明しておくと、当時開発でリードプランナーはしたことがあったが、開発/運営ともにディレクターという立場で仕事をしたことがなかった頃の話
*5:たぶんだが、思い返すと「許せるレベル」だっただけで「納得できる」や「満足する」レベルではなかったと思う。あと1年はちょっと見栄張ったかもしれない。その節は本当にすみませんでした。
*6:が、未だに不安だから人に意見を聞きに行くことは多い
*7:今は週2回リモートで動く程度なので、稼働日の定時前くらいに30分程度雑談ベースで「ざっくばらんに語る会」を開いてもらってる
*8:が、僕も普通に「あの判断は間違いだったかもしれない」と思うことがめちゃくちゃあるので今後も精進します