ラブライブ! というコンテンツに出会ったのは4年前くらいだろうか。ゲーム業界、ことスマートフォン でのゲーム界隈にいるため新規開発のニュースが出る度に目を通すようにしていたのだが、ラブライブ! のスマホ ゲームが出るらしいという話しをニュースサイトでみたのがきっかけだったと思う。その後リリースされたスクフェス はあれよあれよという間にApp store /Google Play のトップランカーになり、僕もあのゲームの面白さに魅了された。
そして、じゃあ実際ラブライブ! ってどういうコンテンツなのよということでアニメも観てみたらこれがまたよかった。基本的に王道とスポ根(青春)に弱いのですっかり気に入ってしまった。正直キャラ愛みたいなものはあまりなく、μ’s(並びに各キャラそれぞれ)の青春物語が気に入っていた*1 のと、なにより音楽のクオリティが非常に高かったことが心惹かれた理由だと思う。
1期が終わり、2期が終わり、映画は観に行かなかったからしばらくは平穏の中に過ごしていた。Lantis は公式チャンネルに結構動画を載せてくれてたから曲を聴くのには困らなかった*2 し、PV動画がアップされて無くてもアニメ自体が動画サービスで配信が始まったお陰でこれといって不自由なく音楽に触れてこられていた。そして解散が決まったμ’sのあとはどうなることやらと思っていたが公表された『ラブライブ! サンシャイン』の制作。個人的にはμ’sを終わらすのはもったいないと思う反面、次のグループを出して成功させたら2次元コンテンツ界の新たなビジネスモデル*3 の誕生やでとか思ってたので期待している自分もいた。
アイマス はアニメ観てなかったけど、友人宅でゲームはやったことがあった(その頃はデレステ なんてなかったからXBOX360 の音ゲー だったと思う)。音ゲー としては面白かったし、アイマス 人気は既にすごい盛り上がり方を見せ、モバイ ルゲーム業界でもシンデレラガールズ の躍進はみなさんご存知の通り、おそろしさすら感じるものだったと思う。だけどなぜアイマス にはあまり興味を持たず、未だにラブライブ には興味を寄せているかというと、ひとえに「曲が好きだから」という言葉に尽きる。誤解の無いようにしておきたいのだが、アイマス の曲が悪いと言っているわけではない。僕にはラブライブ! の曲の方が耳に合ったというだけだ。
最初はスクフェス で「やけにいい曲多いな」と思っていた程度だったが、『もぎゅっと“love”で接近中! 』のプレイ前、みたことのある名前が目に入った。
編曲:A-bee
A-bee さんがアニソンのremixとか良くしてるのは知ってたが、まさかこんなところで目にするとは。衝撃だった。それ以来「ラブライブ! の曲には好きなミュージシャン/トラックメイカーが参加している」という精神的安心感もあり*4 どんどん曲を掘るようになった。なかでも気に入ってるのは『Snow halation 』と『夏色えがおで1,2,Jump! 』だ。
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この曲には本当に度肝を抜かれたと言っても過言ではない。Bメロからサビまでの展開が完璧すぎて、ここ数年聴いてきたオーバーグラウンドのポップミュージックの中でもかなり上位に入るくらい気に入っている。そして、どの曲でも言えるが畑亜貴 氏の作詞には異常な中毒性があって、日本語的にはめちゃくちゃなのにここまで受け入れやすいのは桑田佳祐 以来だと勝手に思っていた*5 。歌詞も全部追っているわけではないので深く言及することは出来ないが、断片的に聞こえてくる言葉が非常に「ここにはこれしかない」と思えるものに感じる。サビ前の「なぜ?」は音のはめ方はもちろんだが戸惑いが混じった抑えきれない思いをそのまま口から出したような素晴らしい言葉のチョイスだと思う。いろんなところ見ててもSnow Halation は名曲、と書かれているところをよく目にするので、自分が一般的な感覚をちゃんと持っているという自信にもなった感慨深い曲だ。
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snow halation とちょうど真逆に夏の曲だ。ショートサイズのPVしか見つからなかったのが惜しい。なにが惜しいかというとこの曲で一番好きなのは曲ラストの全員で掛け合いをするところ*6 だからだ。あの掛け合いでのPile 嬢の「暑いから」の歌い上げは本当に「ああ歌で飯食ってきた人なんだな」というくらい他を圧倒する声だった。よく考えたらこの曲はボーカルの掛け合いが多く、ハモるほどではないがユニゾン 前提の曲を聴いているよりも音に動きがあって好きだ。細かいところでいうとサビ前のオーケストラヒット、サビ入りのキラキラしたSFX、クラップ、サビがはけるところからのスネア、掛け合いのボーカル、好きな要素が多い。
「なかでも好きなのが」と2曲挙げたが、わりと本気で音楽としてラブライブ の曲が好きなので、油断すると全曲口を出しかねないから次に行く。
あれだけラブライブ! の曲好きだったのに、ラブライブ! サンシャイン観てなかったなと思い、先日から観始めた*7 。正直今のところアニメの内容(ストーリー)はほぼ覚えていない。ただ、これはサンシャインが無印に劣っているわけではない。なぜなら僕はラブライブ! 1期2期ともに5回くらい観てようやく話が頭に入ってきた くらいだからだ*8 。
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ファーストシングルは「固く行ったな」という印象。リードとしてこれ以上無いくらいきちんと掴むところを掴んだ曲で、とにかく安定感があるなと思った。そしてどストレートな歌詞もおっさんの心に刺さる。最初の8小節だけで自分の青春は終わってしまったが彼女たちはまだ青春の真っ只中にいるのだという切なくもあり応援してあげたくなる恐ろしい歌詞だ。何言ってるんだ僕は。
Step! ZERO to ONE
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なんかいい感じのシンセで入ってきたなと思ったら、まさかのソカのビートが待っているとは思わなかった 。サビのエモさに妙にマッチするソカのビート、抜けるときの「zero to one」の繰り返し、ラストのサビでの掛け合い。ちょっと諦めが入ったようなサビ頭に対して、終わりには心の強さを感じる言葉で次のメロに移行するところとか、こういうのを聴くと本当に良く出来てるなという感想が本音として出て来る。わざわざ言うことではないが、多分ピーターティールは関係ない 。
印象としてはμ’sで『Mermaid festa vol.1』を聴いたときと同じような驚きがあった。『Mermaid festa vol.1』ではラテン/スパニッシュなギターが「昼の『夏色えがお』、夜の『Mermaid festa』」をキレイに印象付けして役割を分けている感じ。まあもう一つギャップを演出できたのは大人っぽい歌詞の内容だろう。
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『Step! ZERO to ONE』は歌詞の内容についてはストーリー直結の真っ直ぐな青春の歌詞だからものすごいギャップを受けたわけではない。だが、いい曲だというのは変わらないし、ギャップの有り無しでで曲の優劣が決まるわけではない*9 ことは断言しておきたい。
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2ndシングル。この辺からラブライブ! 的な底力を感じ始めた。これも曲全体としては安定感があるのだが、Aメロでの「魚たちのパーティ」がマジでやばかった。なんだよこのフロー。環ROY × Fragment『hybrid flow』での環ROY の超絶フロー以来だこんなにヤバいの聴いたのは。まあ「そこだけかよ」ってなるとそうではなくて、前述の通りオーソドックスな曲の中にアクセントが散りばめられまくっているので聴いていて安定感があるのに飽きないという点、そしてサビがすごい。ベースが以外と太かったりとか、Bメロのタムの入れ方だったり、音の数が多いのにうるさくなかったりとか、収まりのいい仕上がりになっているのが飽きない安定感。サビについては一番驚いたところで、特にサビの入りに関しては「これAKBが歌ってても全然違和感ないな」 と思った。これのどこが驚くかというと、今まで僕の中では「アニメのアイドルは『アニメのアイドルソング』を歌うのであって『アイドルソング』は歌ってない」と思っていた からだ。アニソンとアイドルソングは親和性も高いし、最近は歩み寄っているところがあるからボーダーラインは曖昧になってきてはいる。ただ圧倒的に「現実の少女が歌ったら違和感があるな」と思う点は未だにアニメのアイドルソングには存在している。それは声の質だったり、言葉の選び方だったり、しなの作り方だったりもそうだ。だが、この曲のサビはかなり「アイドルソング」に近いものになっていると感じ、衝撃を受けた。ちなみに現実のアイドル側からアニソン側によってきたのは他でもないももいろクローバー Zだと思う。
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ももいろクローバー Zのアニソンっぽさはこの辺から感じていた。まあこの曲は実際にアニメのEDだからそうなってるのかもしれないけど、『ココ☆ナツ 』とか前山田さん節全開で、こいつはアニソンとアイドルの境界が薄れたきたぜと戦慄したのを覚えてる。
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最近スマニューとコラボMV作っててきちんと流行り乗ってんなと思った。今までのももいろクローバー Zのフットワークから考えるとちょっと遅かった気もしなくもないけど。スマホ 前提MVについても今度機会があったら自分用にまとめておこう。
さて、話しがそれたのでラブライブ! 、Aqours に戻ることにする。
待ってて愛のうた
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2ndシングルのカップリング曲。アコギ、逆再生、クラップ、フロアタムから入るビート。Aメロ最後の「愛のうた」って言葉は音としてすごくキレイな日本語だと思ってるから好きだ。どことなく90年代感のあるサビが心地いい。Bメロも「こころ」「からの」「きもち」「こめて」の言葉の切れ方が気持ちいいし、サビに入ってからは「パッション」で小節を締めるなどとにかく言葉の切れ目がスパッとしていて聴いててぴたっとハマる感じがして好きだ。
Guilty Night, Guilty Kiss!
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後半の方ね。サンプリングされたギターにブレイクビーツ 、入りが完璧すぎる。しかしこの曲は本当に問題曲なんじゃないかな、ちょっとあまりにかっこ良すぎる 。サビ入る前の「you calling, calling」、シンセと重ねる「Guilty Kiss!」の掛け声と、「踊り明かそうよ」。本当にすべてダン スミュージックとして完璧すぎて言葉が出ない。ユニットシングルだからこそちょっと尖ったことができるんだろうけど、この尖り方はこの一曲のためだけに軽く金出せちゃうレベルでいいところ突いてくるし、ただ突いてくるだけじゃなくて完成度がとんでもない。そして、曲がすごく垢抜けていてそこもすごくいい。マジでこういうユニット現実で出てきたらすげー売れると思うんだけどな。perfume ともちょっと違う、すこしブレイクビーツ よりの曲で歌うダン スミュージックアイドルみたいな。ちょっと幅が狭くなりすぎるか。
トリコリコPLEASE!!
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続いてまたもユニットシングル。モンゴルの音楽のときにも書いた けど、アルペジエイターを使ってSuperSAW的なシンセを入れることを発見したトランス/サイバートランス の功績ってすごいと思うんですよね*10 。EDMとか完全にトランス直球の流れだし。で、この曲もシンセの使い方は本当にトランスそのもので、聴いていてすごく浮遊感がある。裏でパッド的なシンセ鳴らしながらクラップを4つ入れる手法とかも完璧に作法に則っていて、その上で少女の恋心を歌わせるというよくまあ思いつくわと完敗。
tokidokidj.hatenablog.com
夜空はなんでも知ってるの?
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これもユニットシングル。後半の方。これは最初聴いたときから「あー、secret baseか」と(決して悪い意味じゃない)思っていた。バラードを全体的にシンセ(ストリングス)で包んで、歌を前に出している感じがストレートな王道スタイルで好感が持てる。意外とAメロのパーカッションやピチカートが気持ちよかったり、サビに入る直前のオルゴール(グロッケン?)の音がすごくいい呼び水になってサビのメロディーが流れ込んできたりと、総じてバランスがいいのがこの曲だ。
どうしてもμ’sがあってAqours になるので比較して話したくなるのを許してほしい。Aqours の楽曲は非常にクオリティが高い。色々な仕込みも垣間見えるし、王道の展開の中に遊びが入っていたりしてすごく参考になる作りだ。ただ、μ’sの時に比べて楽曲の幅はまだそこまで出てないと思う。ただ、これは別に悪いことではなくて、μ’sが長い期間をかけて縦横無尽にいろんな曲調の楽曲を発表していた*11 、というところが強いからだ。なので、言い換えればAqours もこれからが期待出来るということだ。
とにかくGuilty Night, Guilty Kiss!があまりにかっこよすぎるので当面はこれを聴きながら他の曲も回しつつ、ずっと聴いていられると思う。ラブライブ! サンシャインも2期やるのかわからないけど、頑張ってください。ラブライブ! と同じく、4回でも5回でも観てちゃんと頭に入れるから。本当に応援してる。
最後に
μ’sのファーストシングル、『僕らのLIVE 君とのLIFE 』に「今すぐ会いたいね OK.サンシャイン」という歌詞があって、ラブライブ! 続編のタイトルが『ラブライブ! サンシャイン』に決まったと聞いた時は一人で感慨深い思いにかられたものだ。こういう伏線っぽく見せるやり方、意識してるしてない関係なく「いいなあ」と思う。
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上記の動画は1番までで終わっているので該当の箇所(2番のA?メロ)が聴きたい場合は購入のほどお願いします。
あとLantis のチャンネルにライブ盤の宣伝動画がたくさんあるんだけどすげー楽しそうだ。僕自身はラブライブ! 関連のライブに行ったことはない*12 。μ’sに関して言えばもういけなくなってしまったし、Aqours のライブなどにも多分行くことはないと思ってるけど、ラブライバー の皆さん(尊敬語)はぜひ安全に、最高に楽しんでください。