以前からそう思ってたんだけど、LDH (Exile の事務所)のやり方は本当に参考になるし、上手いとしか言いようがないなと思っていたので改めてまとめて見ようと思った。僕は商業的に音楽に携わっているわけではないけどそれでも参考になるし、実際に商業的に関わってる人は本気でLDH のやり方を研究したらすごくためになるだろうと思う*1 。
勝ちパターンの宝庫
有力ミュージシャン/プロデューサとの共作
これをまとめようと思ったきっかけが、3代目J Soul Brothers さんがAfrojackと一緒にやった曲があるということを知ったからである。お恥ずかしながらさっき知ったので僕も勉強が足りないとしか言えないのだが*2 。
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海外のイケイケなプロデューサとかと一緒に演ってクオリティぶち上げたり名前を売るというのは皆さんご存知のことで既に韓国のアイドル市場がやってたことだ。そして韓国は結構国家的にそういう方向に力をいれてたのに対して、LDH は日本のいち事務所がしっかりそういう流れを汲もうとしてたというところがすごい。
仮に海外勢でなくても、別のところのミュージシャンやプロデューサを引き込んで一緒に仕事をするといい結果が出そうなのはある程度予想がつくところで、国内でそれをずっと上手くやってきたのがジャニーズだろうと思う。有名どころで言えば、KinKi Kids の『硝子の少年』は山下達郎 御大の必殺仕事人具合がもろに出てる*3 し、SMAP は『セロリ』で山崎まさよし 、『夜空ノムコウ 』でスガシカオ 、NEWSは『weeeek』でGReeeeN など、一線で活躍する日本人ミュージシャンからの楽曲提供で名曲を残している*4 。そしていまYoutube にジャニーズの公式チャンネルが無いことを知って、そういうとこはあのちょっとうーむ とか思っている最中だ。ジャニーズの動画がないことに驚きつつ、ここ最近海外勢との共演でこれはいいなと思っていたのがmabanuaさんの『talkin' to you』(Tahiti 80 のXavier Boyerが歌ってる)。マジでセンスいいコラボレーションだし、実際に曲も素晴らしいので本当に聴きまくってた。もう4年も前のことなんだな。
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あとこの視点で言えばPerfume だってある意味で同じと言える。音楽は全面的に中田ヤスタカ がぶちかましまくっている上に、Perfume の恐ろしいところは演出技術面でRhizomatiks を巻き込み日本が世界に戦える職人達をがっつり囲い込んでチームPerfume を形成しているというところにあるだろう*5 。
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真似したくなる要素
特に3代目J Soul Brothers で言えばみんな大好き『R.Y.U.S.E.I』が本当に素晴らしくて、ここ数年でリリースされたオーバーグラウンド界隈の曲では随一の出来だと思ってる。
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『R.Y.U.S.E.I』は曲自体がEDMを踏襲しつつ、JPOPとしてキレイにキャッチーなサビを用意しているあたりが素敵*6 なのだが、サビが終わったら魅せ場としてのウォーキングマン を仕込んでいるあたり全方位的な素晴らしさを感じざるを得ない。実際やったら難しいんだろうけど、「踊りたいと思わせるダン スを入れる」というのはやっぱりすごく重要で、歌だけじゃなくてみんなが真似できる/擬似的に自分も参加してるかのような要素を置いておく というのはマジョリティを取り込むのには必須だと思う*7 。それはモーニング娘。 の『ラブマシーン』サビを当時全国の小中高生がカラオケで真似して歌い踊ったのもそうだし、宇多田ヒカル の『Automatic』が少女が歌うにはあまりに大人びた内容であっても若年層の心を掴んで離さなかったのと同じではなかろうか*8 。冷静に考えたら大人びた歌詞は『First Love』だったがまあいいや。
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夢を見させる仕組み
端的にいうと、若い人、子どもを使うという手である。これもみんなやってる通りで、若い人が憧れる存在になるってのは本当に影響力が強くなるし、下手すりゃ親世代から当人たちが子ども持ってからその子どもたちまで影響を受ける可能性があるんだからアプローチする価値が恐ろしいほどあるわけだ。子どもたちは「あんな風に踊れたらかっこいいだろうな、楽しそうだな」「あんな風に歌えたら気持ちいいだろうな」と夢を見て、親世代は「子どものわくわくした目」を見せられたら味方になる可能性が高い。下記、本家Exile のシングル『I Wish For You』は見事で、ドームツアーかなんかの映像を使ってるんだけど「若い人たち」が「大人数」でいる ところがガッツリ映りつつ、『I Wish For You』のタイトル通り未来に対する言葉を重ねるという完璧な仕込み。
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意外にもAlbum ver.の方が子ども達がよく映ってた。
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今聞くとオートチューンとわさわさしたシンセ使ってたりしてどことなくKanye West の『Good Life』を思わせるな。
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『Good Life』は2007年、『I Wish For You』は2010年なのでちょっと離れるか。海外からの輸入の時期という意味ではギリギリ射程圏内になりうるか?
まあそれはさておき、何故か我々人類はこと「若い人間が頑張る」姿に心打たれ、かつ大人数が動いているだけで謎の感動を感じる仕組みが仕込まれているらしい。「我々人類は」と主語が大きくなってしまったが、実際似たような例は多々あって最近で一番それが顕著に出たのがAKB48 の『恋するフォーチュンクッキー 』だと思われる。あとポカリのCMが好評なのも同じなのでは(第一弾は女子高生、第二弾は男子高生、第三弾で一般公募の映像を使う段取りの良さ)*9 。多くの人が集まって一つのことを達成するというのはそれだけで身近に夢を見れる仕組みなのかもしれないと思う。
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こうやって考えるダン スが絡む人たちはみんな「ファン投稿」をやってもらってるな。
LDH の良さが「常に全力」な演出だとしたらAKS は「頑張りすぎない(裏では頑張ってるけど表にみせず、あくまで「普通の女の子」なんだという)」演出
が受けてるんじゃないかと思える。もとのコンセプトが「会いにいけるアイドル」なので身近さが重要だったケースということだろう。ちなみにいま調べて知ったが、「クラスで3番目にかわいい娘を集める」は都市伝説だそうだ。
秋元康氏 AKB「クラスで3番目にかわいい娘を集める」は都市伝説
なんだかんだ実力派
ごめんこれは完全に主観だ。 tofubeats の新譜が出るって聞いた時に、「あー、あの愉快な金髪のねーちゃんか」と思って『POSITIVE』*10 聞いたら歌がすごいちゃんとしてて驚いたってだけである。もともとLDH はガチ路線というか、体育会系のノリだと思うのでそういうところ(レッスンとか練習とか)はきっちりしてるんだろう。
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それはそれとして、やはり曲のクオリティというかキャッチーさは郡を抜いているとは思う。僕はオリコン も追わないし、流行りの曲を追うというよりはただ適当に好きな曲を漁って聴くだけだが、MTVとか流しっぱなしにしててもやっぱり印象に残るのってジャニーズかExile 系の曲ばっかり耳に残ってる。それだけキャッチーで日本人好みなメロディに仕上げているということだろう。ちなみに僕は個人的にはExile はExile でもLAのExile とかTimの方のExile とかの方が好きだ 。
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とにかく、そんな僕でもLDH の曲は印象に残るからすごいんじゃないかって話しだ。動画は載せたかったから載せただけであまり意味はない。
つまるところ
LDH がやってることは成功パターンをきちんと自分たちのやり方に落とし込んで粛々と進めているだけ という一番シンプルで難しいことをやってるわけだ。これは本当にすごいことだと思うし、これからさきLDH がまた新しいパターンを持ち込んできたら、次はこちらがLDH の勝ちパターンから学んだ方法を自分たちのスタイルに落とし込みつつ愚直に進めることで成功に近づけるかもしれないということにもなる。よってLDH の動向は探っといた方がいいと思うのである。仮に僕が商業的に音楽に関わることがあるとしたら、メンバーをどんどん増員する というのを思いついたが、そういえば米米クラブ がいらっしゃいました な。やはりLDH 抜かりない。