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『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』観た

doraeiga.com

あぶねー、駆け込みで週末観てきました。映画行ける気がする → ドラえもんまだ観てない! → 観よう、で観たんだけど「映画観てきましたわ、ドラえもん」って周囲に言ったら「プロジェクト・ヘイル・メアリーじゃないんかい」って総ツッコミに合いました。それはそう。

ここ3年ほど『空の理想郷』『地球交響楽』『絵世界物語』とオリジナルで傑作続きだったんでかなりプレッシャーだったと思いますが、僕は結構好きでした。オリジナルのバギーに比べるとかなり感情表現を抑えた演出で、AIがわりと庶民の生活に馴染んできたからこその描き方*1なんじゃないかなという解釈です。あと多分新バギーはドラえもんとの対比な感じがしました。旧バギーはドラえもんと引けをとらない人間臭いいいやつでしたが、新バギーは「人間は不合理でわからん」のスタンス。でも、その不合理が気になって、しずかさんというステキな人間を目の当たりにして、最期はオリジナルと同じく「不合理だとわかっていても自分の身を呈する」という行動をとる。ここでドラえもんとの「同じロボットでも違うアプローチ」を描きつつ、のび太を始めとした人間サイドはみんな、ドラえもんと変わらず「友達」と認識しているあたりが涙腺を殴ってきます。

個人的にはしずかちゃんがバギーのホイールのボルトが緩んでいるのを見て締め直して挙げる際に「いつまでも安全に走っていられるように」と絵を書いたボルト*2を見せた瞬間に泣いてしまいました。だって僕バギーがどういう行動を取るか知っているから......。もうこの辺からおいおい泣いてしまって、ラストまでずっと「スッーーー(涙)」みたいな状況がずっと続いていた。そういう意味では近年のオリジナルドラえもん映画でわりとある「死んだと思われたが最終いろいろな歯車によって死なないで済んだ」というオチにせず、オリジナルに忠実なバギーのラストを描いたのは偉いと思います。オールハッピー!で終わらしてもいいし、なんならそういう方が受け入れられやすい世の中でも「オリジナルのバギーの最期を尊重する」という意思を感じました。バカ泣いたけどな僕は。

今回結構勉強になったなと思ったのは「恐怖の源泉」の部分。オリジナルもそうなんだけど、結構海底鬼岩城ってストーリーとしては駆け足*3なんですよ。海底の話を一通りしてからようやくムー連邦の話が出てくるので序盤から明らかにオチにつながる話が色濃いかというとそこまでではなくて*4、「海底の話」「海底人の存在」「ポセイドン」までわりとスピーディに感じる。ましてや今回トリラインさんというキャラクターの話が入ってくるのでその分オリジナルより展開が速く感じるかもしれない。それ故に、オリジナルでは描かれないことによる「理解不能な狂気」があったが、今回はその裏付けがちゃんとされているから、納得感がある程度あるけど「納得感がない恐怖こそ恐怖なのかもしれない」という反転した学びがありました。ただ、トリラインさんの話はオリジナルに比べてより物語が深堀りされることで説得力が増すし、なによりキャラデザがかなりいい*5ので2026年のドラえもん映画として非常に素晴らしいと思った。

そう、キャラデザの観点でいうと毎年悪役側のデザインがすげー好みになっている感じがして大変うれしいです。芝山作品後期の名作『ロボット王国』あたりからよろしく。若干節足動物感があるデザイン*6が全開で、「なんだこいつら、デザインがカッコよ......」ってなってしまう。あとエルは変わらずイケメン!

そんで音楽は今回も服部さん。毎年ありがとうございます。服部さんの音楽があることで「今年も服部さんのドラえもん映画音楽が聴けたな......」となってしまう。最高でした。エンディングのsumikaも結構よかったっすね。僕が知らなかっただけなんだけどドラえもん映画のタイアップするような規模になってたとは知らなんだ。素直にいい曲でした。

最期にエンドクレジット見てたら「アンバサダー : 東問 東言(QuizKnock)」と流れてきて爆笑してしまいました。大好きな人たちが大好きな作品のアンバサダーやってんのかい*7。いろいろ大変な昨今(社会情勢的にも、個人的にも)ですが、たくさん笑顔になれてたくさん泣けたよい映画でした。ドラえもんの映画ってドラえもんのことが好きな人が作ってくれてるから助かってます。今年もありがとうございました。

*1:ある程度親しげなAIが生活に馴染んでいることが前提で、あえて一歩引いた態度にすることで「かつての想像上のAI」を再現しようとしているというか

*2:ステッカーではなく、安全に走るための必要な器具なんですよ

*3:トラウマとして名高い「ジャイアンとスネ夫のテキオー灯切れ」は序盤の仕込みという恐怖

*4:『海底鬼岩城』に限った話ではなく初期ドラえもん映画はわりとそういうところがある

*5:巻貝の女優帽みたいなデザインよすぎ

*6:僕自身は節足動物が苦手なのだけど「かっこいい」と思ってしまうくらいの造形美

*7:問ちゃんドラえもん大好きだって言ってたもんね