ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

眉村卓『静かな終末』読んだ

全然SFの知識がないもので、なんとなくジャケで選んで読んでいたら没後にSF大賞で功績賞をもらう大家の著作だった。序盤のショートショートを読んでいるときから「あれ?」とは思っていたのだが、2002年が未来として描かれていたりしてびっくり。まあ確かに「2001年宇宙の旅」とか考えてたような時代だもんな。しかし1960年代からこういうSFを発想できるというのがとにかくすごい。人間の想像力はおそろしい。「大当たり」みたいな勢いのあるショートショートもよかったし、「落武者」とかは今後AIがもっと進化したらこういうことも起きるかもなとちょっと言葉にならない感情*1になったりした。「怨霊地帯」とかは短編でありながら最悪さがかなり強くて、「最後の火星基地」も普通に人が狂うし死ぬし、それでいて「100の顔を持つ男・デストロイヤー」みたいなSFアクションでありながらちょっと後ろ髪引かれてしまうような作品まである。作家としての底力がすごすぎ。俄然眉村卓さんに興味が湧いたので『僕と妻の1778の物語』もTSUTAYAとかで借りてきて観てみたいものです。

*1:悲しいとか切ないとかとはちょっと違う、なんとも言えない哀しさというか