初夏っていうかもう7月になるし、なんなら最近の日本って6月時点でもう夏だよな。それはそれとして、昨年8月にこんなエントリを書きました。
ここに書いているやつはちゃんと読んでいる*1。その上でここに書いてないけど読んで震えたやつも交えて、最近読んでよかった漫画をまとめておく。
天国大魔境
ありえんほどおもしろいです。人から薦められたものだったので感想を言わねばと緊張していたため読むのが遅くなった*2が、何ヶ月か前に読んであまりにおもしろく、その時点で出ていた続刊も最新刊まで買ってしまった。
環境の整った清潔な学園と荒廃した未来の日本、ふたつの世界を行き来する。石黒正数ワールド全開のSFアドベンチャー。 美しい壁に囲まれた世界で暮らす子供たち。
トキオはある日、「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取り──?ほころび始めた天国で、少年少女の大冒険が始まる!
超才・石黒正数の最新作! 極大スケールでスタート!!
アニメ化もされている作品でいまさら僕が紹介することもないんだけど、眠れないときに『天国大魔境』と『紛争でしたら八田まで』*3をひたすら読み返していたくらいにハマってしまった。途中からちょっと能力バトルっぽくなるんだけど、思い返してみれば序盤から能力を使って苦難を乗り越えていく描写がしっかりあるので納得感が強く、「この話一体どうなるんだ?」というワクワク感がずっと続いている。今後も続刊を楽しみにしつつ、アニメも観ようと思います。
路傍のフジイ
これご存知の方はご存知だと思うんですが、1巻刊行時の帯コメントがオモコロの原宿さん/永田さんなんですよね*4。ちなみにこれで原宿さんが紹介していた『リボーンの騎士』の作者の方の作品です。
変人なのか仙人なのか?一見サエない会社員「藤井」が「幸せ」の定義を覆す?!
職場では目立たない地味な中年男性。仕事はちゃんとするけれど、ムダ口は少ない。定時になればドライに消える。職場飲みにはそもそも声がかからない。どちらかというと陰で後輩に(ああはなりたくないな…)と思われてそうな男、それが「藤井」。だがちょっと待て。(どんな育ち方してきたんだろう?)( 友達や彼女っているのか?)( 休日は何してるんだろう…? )ふと気がつくと、あなたも「藤井」のトリコになってしまう……言葉にしづらいこの感情を、『リボーンの棋士』作者が鮮やかに切り取る幻惑の人生劇場!
大きな事件はないし、だからといって常にいいことがあるわけでもない、それでも生活は続いていくというあまりに優しい人間讃歌だと思います。しかも現代の負の側面みたいなものもサラッと入れてくるのに「決してよいことではないけどそれ以上は口出ししない」という作者の方の意志があるように思えて、「なぜここまで客観視点で留まることができるんだ......」ってなりました。個人的な感覚だと『よつばと!』を水平思考で中年おっさんに持ってくると『路傍のフジイ』になるんじゃないかな*5。僕は亮ちゃんの話の最後、フジイの表情を見て号泣しました。
スーパースターを唄って。
ちょっと見栄を張ります。これも原宿さんが「ヤバい」って言ってたんだけど、僕原宿さんのツイート見る前から読んでました。たぶん。なぜ「たぶん」なのかというと原宿さんのツイートが回っていたときに「わかる!!!!!!!」って思ったからです。ただ、原宿さんが関係者先行で読んでツイートしていたとかであれば僕の記憶は妄想ということになるので、その辺は生暖かい目で見てもらえればと思います。とにもかくにも『スーパースターを唄って。』、関西のゲットーで生きる雪人がラップで人生を変えようとする話です。
痛みに優しさを。剥き出しの人生叫ぶ、人間叙情詩。 貧困と音楽、圧倒的な熱量で描く問題作。
「やらんかなぁ俺は、ラップ。」「歌いたいことなんか、ないもん。 ・・・伝えたいことも」 主人公・大路雪人。17歳、売人。大阪の路上、絶望的な環境で、感情を殺しながら生きる日々。幼い頃に、シャブ中の母親と最愛の姉を亡くし、天涯孤独となった主人公だが、唯一信じてくれる親友がいて・・・ 仕事先の上司に殴られ、流血しながら売人を続けてく中で、彼の心に宿るものとは? どうしようもない環境を抜け出すことができるのか・・・!?
音楽に救いを求める人々を描く、極限の人間ドラマ。
これ、HIPHOP好きな人ほど賛否がわかれそうな気がしているんだけど、それって現実とフィクションの違いで些細な部分に違和感を覚えるかくらいの小さな話で、物語として人間の人生をここまで泥臭く描くことができるのっておそろしい才能ですよ。あと一応補足しておくけど、取材協力に渡辺志保さんとか壮士itさんとかちゃんとHIPHOPを知る人たちに取材して作ってるから、生半可な扱いでHIPHOPを題材にしているわけではないです。本気です。個人的にグッときたポイントは「HIPHOPとの出会いのきっかけになるのがANARCHY」は現代/設定に完璧にアジャストしていると思ったのと、「姉貴分を食ってシーンに飛び込んでしまったリリー」とかはうわぁあああああ!ってなりました。あとオッサンの「やさしい子やから...」で号泣。
あとはまあ実は『ミステリと言う勿れ』は前から好きで最近最新15巻を買って読んでライカに号泣したりした*6んだけどあれも超有名作品なので一旦置いておきます。ポリコレアフロとか言わないでみんな読んだ方がいいと思う。それはそれとして今後も好きな漫画は追っていきたいし、わりとアンテナ張っているつもりなんだけどやはり雑誌類を読まないため「このマンガがすごい!」とかを見るたび知らない作品ばかりなので、なにかおすすめの漫画があれば教えてください。