本屋大賞よりも先にこちらのインタビューを見ていたので気になっていた。本で読もうと思っていたんだけどAudibleにあったので仕事中にながら聴きで視聴。
鳴瀬まみさんの声が非常に素晴らしく、成瀬のキャラクター像がかなりいい感じに想像できる。ちょっとパリッとした声で、凛とした印象を受ける。その上でクール系才女、ちょっと世間知らずな感じもしてかなり解像度が上がった。しかしこの鳴瀬まみさん、滋賀県出身で漢字こそ違えど成瀬と同じ「なるせ」さん、こんなにもハマり役他にいないぞ*1という印象。すごいよい縁だと思う。
あらすじとしては、才色兼備だが人より能力が高いゆえにマイペースで何にもとらわれない天才少女成瀬あかりと、その成瀬を見守る幼馴染の島崎みゆきを中心とした物語。閉店する地元のアイコン的百貨店に最後の挑戦として毎日夕方のローカルニュースの中継に映りに行ったり、お笑いの頂点を目指すといって漫才を始めたり、前述のローカルニュースに映ったことでとある中年の友情のわだかまりが解けたり、進学した成瀬がとある同級生女子に煙たがれながらも共生したり、とある男子高校生の心を奪ったり、天才が人の心をより深く理解したり、など。
通しの感想ではやっぱり「ありがとう西武大津店」が一番好きだなと思った。僕自身はそのローカルな店舗のことを全く知らないのに、まるでそこで見てきたかのように目の前に浮かんでいた。あと成瀬の戦略的思考と、それを横で見ている主人公の島崎の視点が軽やかで非常によい。あと「普段写ってる子と違う」おじさんはちょっと嫌だったけど、タオル持ってきてくれた女性はよかった。ちなみにこれを皮切りにずっと物語の中心は成瀬であり島崎であるんだなということがわかります。
「膳所から来ました」で漫才とはこれ如何にという印象から聴き始めたが、実際のネタが面白いかどうかはそれはそれとして、トラブルからボケとツッコミが逆転する展開は「アツい!」となった。いや普通に女子中学生が考えたネタだと思えばすごく完成度が高いと思ってますよ。あとM-1予選で「島崎がいてくれるだけでいいんだ」は結構アツいセリフだと思ったが、その後の島崎の「成瀬は私に期待していない」と繋がるのが結構心にくるものがある。
「階段は走らない」についてはどう成瀬が出てくるのかが気になっていたが、「ありがとう西武大津店」での伏線回収もあってよかった。敬太の仕事がweb制作なのもちゃんと回収されるし、タクローとの話*2も激アツ。タクローが竹を割ったような性格の人間でよかった。ちなみに成瀬も島崎も本当にちらっとだけしか出てきません。それでもよい話だった。
「線がつながる」、冒頭で成瀬が坊主になってて笑う。島崎が違う高校に進学しているの「人生~」って感じでよい。成瀬が初手から飛ばしていて最高なんだが、大貫かえでがナチュラルに自分も他人も下げて見るような感じ*3があって「実際いそうで嫌なタイプだ」ってなった。あと成瀬、いよいよ「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者に興味がない涼宮ハルヒ」だなと。それから須田くん、絶妙に鈍くていいぞ。みんな頑張って東大行ってほしい。
「レッツゴーミシガン」、一番ド直球に青春していたっすね。ミシガンは例の船か。結構先輩たちが協力的でウケます。あと成瀬の変人っぷりがかなり際立っていていいですね。あとあれだ、ご飯のくだりでずっと感じていた既視感が僕の中で確定した、成瀬は涼宮ハルヒというよりウマ娘のオグリキャップですね。飛び込もうとしていた男が「階段は走らない」に繋がったりするのかと思ったらそうでもなかった。にっしゃん、ちゃんと勇気出して偉いぞ。
「ときめき江州音頭」挨拶は防犯の基本、行動原理が一環していてよい。あと母親にも同じ口調で話するのもよい。島崎の話を聞いておそらく人生初であろうと思われるスランプへ陥る成瀬よい。あと島崎が成瀬にちょっと失望するところもよい。よいぞ。この小説はよい。稲江がパルムを食うのも解釈一致です。最終、成瀬がこんなにもいろいろなことを上手くやれないのって初めてなんじゃないですかね。よい終わりだった。
こりゃあよい小説だった。続編の『成瀬は信じた道をいく』も大変に気になります。Audibleだと7月配信らしいが、これは紙の本で買って読もうかな*4と思ってる。それくらい『成瀬は天下を取りにいく』よかったです。

