ときどきDJ

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『ザリガニが鳴くところ』聴いたし観た

Audible案件です。朗読は池澤春菜さん。SFの印象があったがミステリでもいい仕事してます。

これは小島秀夫監督が薦めていたかつ映画も話題になっていた*1ため手を出した。そしたらめっちゃおもしろかったので映画も観た、という次第。あらすじとしては暴力を振るう父親を持った主人公カイヤの人生を追いつつ、街の人気者チェイスが死んだ事件の謎解きが徐々に進んでいく。ミステリではあるんだけどそれ以上にカイヤという一人の女性の人生の物語。

最初はマジでずっと嫌な感じで、DV父親に苦労する家族の話。一瞬親父が優しくなったタイミングでちょっと救われかけるんだけど「どうせまた最悪になるんでしょ~」というのが聴いててずっと辛かった。徐々に成長してきてテイトと仲良くなったあたりが本当に「人生が輝いた瞬間」過ぎてその後の展開が余計キツい。ていうかテイト、なかなかにリアルなクソ野郎*2で「わからんでもないんだけど、君結構クズよ」と思ってしまった。そしてジャンピン/メイベルがよすぎる。最高。こういう人間だけがカイヤのそばにいてくれ。後半はネタバレになるから伏せるがかなりグッとくる展開もあったり*3、トムという最後の善人が登場したり、終始「おもしろ」と聴いていた。そんでおもしろかったのでアマプラで映画も観た。

ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

  • ハリス・ディキンソン
Amazon

映画だと話の構成上序盤からトムが出てくるんすね。序盤のDVパートは映像にしても相変わらず嫌な感じだったし、チェイスの女関係が小説版よりもはっきりと「婚約者」と名乗られて最悪。そのあと激昂するチェイス、マジクズ。映画版は映像も音楽も美しかったし、小説版から大きな脚色もないため真っ当な実写映画化、という感じだった。そりゃゴールデングローブ撮っただけありますわ。ただ個人的にはジョディのシーンめっちゃ好きだったのに映画だとそこが省かれてしまうのがちょっと残念*4でしたね。いやでもいい映画だった。『ザリガニの鳴くところに』おもしろかったです、本屋大賞翻訳部門や小島秀夫監督が絶賛してたのも納得。

*1:小島秀夫曰く「映画もいいけど書籍がおすすめ」とのこと、僕はAudibleで聴いちゃったけど

*2:そこまで罵るようなことをしたかというと言い過ぎかもしれないが、やっぱりあれはよくないと思います

*3:その後また最悪な話を聞くことになるんだけど

*4:まあ2時間に収めるなら、あそこを削るのはある程度納得感あるので