前作
加味條さんの2作目です。前作が前評判通り非常に楽しめたので今回は刊行された年に買って読めてよかった。引き続き「あしや超常現象調査」シリーズ、芦屋晴子のキャラが好き*1なのでとてもうれしい。
「あしや超常現象調査」の芦屋晴子と越野草太は、古い一軒家でポルターガイストに悩まされる人物の依頼を受ける。世界で起こったポルターガイスト現象から法則性を導き出し、独自の対策を編み出して超常現象に立ち向かう二人。やがて現象は収束した……と思った矢先に、依頼人が失踪してしまう。さらに晴子と越野の周囲までもが奇怪な現象に蝕まれ始め──。 「ベストホラー2024」(国内部門)、『このホラーがすごい! 2025年版』(国内編)で1位に輝いた『深淵のテレパス』に続く、〈あしや超常現象調査〉シリーズ第2弾!
シリーズものなので『深淵のテレパス』を読んでないとちょっと楽しみきれないかもしれない。いや、『ポルターガイスト』単品でもおもしろいといえばおもしろいんだけど、『深淵』で登場したキャラの性格やエピソード、小ネタみたいなものが拾いきれない、という意味です。シリーズものって大体そうか。上条先生作品の特徴として「序盤の怪奇現象解明に比べて最悪の展開へ転んでからのスピードが異常に速い」という印象を持っていて*2、今回もポルターガイストに対する対処を打ってから物語が転がりだして以降すごいスピードで話が進んでいく。まあ作中では数週間とかが過ぎているのでそんなに速いというわけではないんだけど、読んでいる身からすると怒涛に感じるというか。たぶんトライアンドエラーの試行回数と実行速度ゆえにそう感じるんだろうな。特にあらすじにある「依頼人が失踪」のあたりからですね。
あと作品中盤から後半にかけて叙述トリックがあるんだけど、素直に「よくできてるな〜」って思ってしまいました。それまでの章立ても全部この伏線かいって感じで。一応伏線要素として事前に明示されているので、読んでいた際は「あれ?ってことは...」って思いながら読み進めていたら「あー!ほらやっぱり!」ってなりました。しかし確信を持てていたわけではないし、よくできている構造だなと感じた。一応大オチみたいなところについては事前に読み切れるわけがない*3ので、謎解きというよりは純粋にホラーとして楽しむのがいいと思います。あとスカイツリーのくだりは読んでてめちゃくちゃお腹のあたりがひゅんひゅんしました。僕、高いところ好きな方なんですけど昔バンジージャンプ飛んだときに「あ、これ死ぬな」って生物的本能を自覚したことがあるので、そのときの根源的な恐怖を思い出しました。それはそれとしてスカイツリー上部屋外で格闘はしない方がいいし、ドローン撃ち落とすのも下の人が危険だからやめた方がいいと思います。失礼、エンタメに対して蛇足な感想でしたね。
それにしても相変わらずキャラが非常によくて、エピローグでの晴子はやっぱりどこかネジが外れてていいし、桐山楓は「こいつ思ってたよりかわいいやつだな」*4って感じだし、犬井ちゃんいいやつだし、倉元もツンデレでいいいやつです。そして越野は腹くくってえらい。晴子の過去が最後に触れられたことで、単行本の帯に記載されている「〈あしや超常現象調査〉、次作で完結。」がより一層現実味を帯びてしまって、うぅ...さみしい......ってなりました。とはいえ次作があるということを素直に喜んで、出版されることを楽しみに待っていようと思う。あと最後、桐山楓は全部のサイコロで1を出してくれると僕は信じているよ。
おもしろかったからぜひみんな買いましょう。
