ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

星月渉『ヴンダーカンマー』読んだ

エブリスタ発*1ということで若干大丈夫か心配だったけど読んでみたらなんてことなかった。めちゃくちゃちゃんとしてます。1年前に無惨に殺害された女子高生と関係する5人の登場人物の話が順に語られる。初手で登場人物が語りかけている風にするの、人物の関係性とかの状況説明が自然にできてよいなと思った。そして関係性とかは言葉で語られるから明らかにできる一方で、詳細な事実とかは語られない*2からいい感じに「こいつの言っていることだけでは分からない情報」が作れるというのもよい。小説テクニックの学びがあった。あと渋谷唯香はなんとなくちょっと常識のある涼宮ハルヒみたいなキャラかと思っていたが、どうにも読み進めていくうちにもっとやべえやつな気がすると思ってきた。

どちらかというとあれか、氷菓の入須みたいな感じか?なぜか京アニ作品のたとえが続いてしまったが両方とも原作未読です、すみません。なんとなくクレバーさとクレイジーさが同居してるようなイメージなんですよ。と、当初思ってたが読み進めたら完全に狂ったサイコパス野郎*3でした。本当にありがとうございました。最終的には全員一人ずつは殺していてなかなか最悪でよかった。殺してないの渋谷母くらいか?渋谷の血を継いでいる奴らは必ず殺してる。最終的に渋谷唯香を殺した人間を明言してない気もするがちゃんと最後まで面白かったです。なんというかすごく真っ当な創作でした。

*1:エブリスタ×竹書房の「最恐小説大賞」の受賞作とのことなので全くの野良というわけではない模様

*2:共通認識とかをわざわざ登場人物が事細かに喋ると不自然なので

*3:かつ能力者でもある