思えば冴えない学生生活だった。
勉強に力を注いで、疲れて寝る日々。
そんななかでも幸い友人は出来て、一緒に馬鹿騒ぎもした。
音楽もやったし、写真もいっぱい撮っていっぱい焼いた。
そんな学生時代の友人がお店を始めたそうな。
ということでなんの予告もなく遊びに行ってきた。
こじんまりしたバーで、手作り感が全面に出ていたけど小洒落ていた。
ドアを開けたら見慣れた顔。
一報入れろよ、と怒りながらも笑顔でカウンターの中に入っていく友人。
ビールが好きというのをまだ覚えててくれたのか。
他のお客さんがお帰りになってからはBGMがジャズからロックに。
どっから出したのかギターを引き出す友人。
鼻歌を歌うようにアンプから音が出る。
ああ、なんにも変わってないな。
死ぬほどの本に埋もれながら、勉強の話をして、
音楽の話をして、写真の話をして(これは僕が一方的に)、
同じくらい下衆い話をした頃となんにも変わってなかった。
帰りに加藤登紀子を聴かざるを得なかった。
ちょっと泣いたのは内緒。