ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

青崎有吾『地雷グリコ』読んだ

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ようやく読めたな、という印象。前々から読みたい気持ちはあったんだけどずっと『図書館の殺人』を途中で積んでいるので......。謎解きを本気でやっているゆえに積んでて他の著作に手を出すのはな、と思っていたけど思い切って手にとりました。

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

おもしろすぎ。これは賞獲るわ*1

主人公の射守矢真兎が友人の鉱田ちゃんが様々な「ゲーム」に挑戦していく話。ただこのゲームが一癖も二癖もあり、そこからさらにキャラクター同士の読み合い、ルールの裏のかき方が非常に複雑かつおもしろくてガンガン読み進められてしまう。370ページくらいなので僕は数時間で読み切ってしまいました。感覚としてはかなり漫画的というかアニメ的なので非常に読みやすいです。あんまり読んだことないから言い切りづらいんだけどラノベってこんな感じの読みやすさなんですかね。

上述の通り「地雷グリコ」を含む5篇になっているので、最初の「地雷グリコ」を読んでいる最中は「これで370ページ持つの?」って感じだったけど純粋にそういう作りじゃなかったからですね。むしろ地雷グリコがあのコンパクトさでガッツリおもしろいし、文化祭でのやりとりで椚が大好きになってしまった。多分一番好きなキャラは椚です。読み合いの中で「これはこう来るだろうな」と思ったのがガッツリハマったのは「地雷グリコ」くらいでした。次の「坊主衰弱」はゲームがおもしろいんだけど普通にこういう大人好きじゃないぜって感じで逆におもしろく読んじゃったな。やっつけてやれ!みたいな感じで。結構強引な解決策な感じもしたんだけどスピード感があってよいですね。これがそのまま次の篇に関係して行くってのも軽快でいい。「自由律ジャンケン」は佐分利のキャラクターについてはある程度見えてたものの、攻略方法がかなり複雑で全く思いつかなかった、完全に出し抜かれました。ある程度までは読み切れているのに「小説内でそれすら上回っていく展開」をやられるともう完敗ですわ*2。この辺から結構ゲームルールと読み合い/裏のかき合いがかなり複雑になっていくのでちょっとこの篇は読むのに基礎体力がいるのかもしれない。で、生徒会に巻き込まれて急にバトル展開(肉弾戦ではなく心理戦の)っぽくなるので漫画/アニメっぽいと感じたんだろうな。「だるまさんがかぞえた」はゲームルールや読み合いはそこまで複雑じゃないので気楽に読めます。なんならゲーム開始前から射守矢がコントロールしてた結果なので。いよいよチップの賭けという要素が入ってきたらギャンブル漫画っぽくなってくる。この辺りからラスボスの存在が色濃くなってきて盛り上がりますね*3。で、ラスト「フォールーム・ポーカー」は単純にゲームルールも攻略法も難しいです。頭を整理しながら読んでいたので僕は鉱田ちゃんと同じ目線で物語を追ってたんだけど、結構そういう読者の方も多いんじゃないでしょうか。なんといっても雨季田絵空が最悪で最高ですね。一応補足しておくと、僕が普段「最悪で最高」と書くとき大体人が死んだりするんだけど、今回人は死なないです。そして胸糞悪いというよりも性格悪いな、って感じです。とはいえ最後の巻き返しはかなり気持ちよくて、物語の終着点としても非常に爽やか。いい青春ミステリ(?)を読んだな〜と思えました。

ダーッと書き殴ってしまったけど、前評判通りのおもろすぎ小説でした。後半はもはや『嘘喰い』とか『賭ケグルイ』、『ジャンケットバンク』みたいなもんだな!って感じでおもしろかったです。もっと早く読んでおけばよかった!

*1:第24回本格ミステリ大賞(小説部門)、第77回日本推理作家協会賞(長編および連作短編部門)、第37回山本周五郎賞とのこと、第171回直木三十五賞(2024年上半期)は候補作

*2:青崎有吾先生に勝てたことなんてないんだけども

*3:正確には「自由律ジャンケン」の段階から出てくるキャラではある