ここのところ辻村深月先生の本にハマってます。発端は『この夏の星を見る』です。
上記エントリは映画を観た感想だけど、映画観たあと原作小説も買いました。そして読みました。感想エントリ書いてないけど。原作小説では「映画では描かれなかったこと、映画で新たに描かれたこと」を感じながら楽しめて、結論「原作最高」「映画での調整内容も最高」に落ち着きました。すべてあるべくして入れた調整/そのまま描かれた内容と思えたので。で、それはそれとして小説読んでみたら今までちゃんと読んでこなかった辻村深月先生という作家に非常に魅力を感じたので、東京に帰ってきてから文庫を何冊か買ってます。そのうちの一冊が表題の『サクラ咲く』。
塚原マチは本好きで気弱な中学一年生。ある日、図書館で本をめくっていると一枚の便せんが落ちた。そこには『サクラチル』という文字が。一体誰がこれを? やがて始まった顔の見えない相手との便せん越しの交流は、二人の距離を近付けていく。(「サクラ咲く」)輝きに満ちた喜びや、声にならない叫びが織りなす青春のシーンをみずみずしく描き出す。表題作含む三編の傑作集。
これ、あらすじは三編中の一編である「サクラ咲く」の内容なんだけど、この作品は収録されている「約束の場所、約束の時間」「サクラ咲く」「世界で一番美しい宝石」の順で読むと話が変わってきます。まあ「サクラ咲く」だけ読んでもおもしろいんだけども、三編通しで読むと「お前マジそういうことかよ〜!」ってなります、ポジティブな意味で。まあ簡単に言うと全て同じ世界を共有してるんですよ。文庫版の解説はあさのあつこ先生(!)*1で、そこでも言及されてますが、人物の被りがある。ただあさの先生は「約束の場所、約束の時間」と「サクラ咲く」は人物が被っている、と書いてましたが実際には「世界で一番美しい宝石」も一部人物が被ってますよね?おそらくあさの先生はそこを「読んだ人の楽しみ」として残しておいてくれたんじゃないかなと僕は思ってます。
ちなみに「約束の場所、約束の時間」はジュブナイルSF、「サクラ咲く」は青春ミステリ、「世界で一番美しい宝石」は青春群像劇、という印象でした。といっても三編すべて中高生の話だから全部ジュブナイルとくくれるのかもしれないけど*2。いやーでも「サクラ咲く」までは嫌なキャラクターがひとりも出てこなかったので最後の「世界で一番美しい宝石」は最悪のクソキャラがいて本当に腸煮えくり返りそうになりました*3ね。一応誤解のないように書いておくと、キャラクターの性格が最悪なだけで、ここまで嫌いになれるくらい立っているキャラクターを描いた辻村深月先生はすごい、って話です。他にも買ってある本があるので今後も辻村作品を読むのが楽しみになった一冊でした。
最後に登場人物について気付いたことを自分用にまとめておきますが、完全ネタバレ情報を載せて置くので全部白文字でマスクしておきます。はてなブログの「続きを読む」を使ってもよかったんだけど、モバイルからどう見えるかわかんなかったので。
「約束の場所、約束の時間」
朋彦 : 武宮朋彦、主人公、中学2年陸上部、陸上部のリレーで活躍する
美晴 : 砂原美晴、中学2年陸上部
悠 : 菊池悠、未来人、中学2年、陸上部のリレーを観戦、朋彦と美晴を助けるために未来の装置を使ってしまったため未来へ強制帰還
朋彦と美晴、ホログラムレター(銀色の細い筒状の装置)悠からの最後のメッセージを受け取る。
現在は勉強が得意でない朋彦だが、悠の住む未来までに悠の病気を治す薬を作ることを決意。
「サクラ咲く」
マチ : 塚原マチ、主人公、中学1年、読書好き
みなみ : 守口みなみ、中学1年陸上部、朋彦と美晴の後輩
紙音 : 高坂紙音、中学1年、教室に登校できない時期に図書室を通じてマチと友達になる
奏人 : 海野奏人、マチ/みなみ/紙音の同級生でマチとは科学部仲間
※光田琴穂と長沢恒河も重要キャラではあるが人物的なつながりはないので割愛、キーワード「サクラ咲く」は長沢恒河のファインプレーもあるが
陸上部であるみなみが朋彦のリレーでの活躍をマチらに話すことで時間軸が同一だと判明。かつこの時点ではまだ悠がいる時間軸。 奏人がマチと両思いとなり付き合うことが次編に影響。
「世界で一番美しい宝石」
一平 : 武宮一平、高校2年、生田リュウ/平野拓史とともに映画同好会に所属
海野先生 : 女性司書教諭、図書室を通じてできた友人に本探しを協力してもらう
一平の父 : 製薬会社で研究職として勤務、ライトのようなキーホルダーを何十年も付けている、作中で新種の喘息に対する薬を開発中
※立花亜麻里や三根の野郎については重要キャラではあるが人物的なつながりはないので割愛
一平の名字から「一平は武宮朋彦の息子である」ことが概ね確定、ライトのようなキーホルダーを何十年も付けていること(ホログラムレターを未だに所持)していることで確定。
一平の母親の「お父さんも昔は勉強が苦手だった」発言、「悲願の薬開発に涙する」ことから母親が美晴である(悠との記憶がある)ことも確定。
海野司書の「既婚者」「夏休みに友人たちと自由研究に熱中した」「昔図書館室を通じて仲良くなった友人」で海野=海野奏人と結婚した旧姓塚原マチと判明。
※マチはこれ以上の確たる証拠はないが一平と同級生の拓史が「お母さんと同じくらいの年齢」と発言しているため朋彦/美晴と1歳違いのマチという読みは妥当と思われる
※昔図書室を通じてできた友人=紙音であるとほぼ確定できる(みなみを指す場合は「図書室」より「委員会」の方が接点が多いため)
