ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

朝倉秋成『ノワール・レヴナント』読んだ

さすが、という感じだった。漫画原作も担当されているという話は聞いていたのでエンタメ作るの上手いんだろうなと思っていたため。予想通りエンタメを作るのが上手い。 ラノベっぽさは拭えないが実力は本物なのでデビュー作からこのクオリティ。早急にアニメ化した方がいい。実写じゃ無理。 ざっくりあらすじとしては、ある日突然超能力を得た高校生4人がそれぞれ違う経路でホテルの一部屋に集められ、自分たちの能力の謎やその先に待ち受ける真実を解き明かし解決していくという話。流石にざっくりすぎる&抽象的すぎるので何言ってるかわからないと思いますが、わかりたかったら読んでください。

結構伏線回収がすごいとか言われてるけど個人的にはわりと放置されている伏線っぽい要素が多い*1と思っていて、それでありながら読後感が異常に爽やかであることの方がむしろすごいと思う。繰り返しになるが「エンタメを作るのが上手い」とはそういうところだと。

あとは人物の書き分けがあまりに上手いので全キャラちゃんとキャラが立っている。大須賀駿はやれやれ系というわけでもなくおおらか*2な普通のいいヤツだし、三枝のんはコメディ系と思わせておきながらすげーいい仕事するしちょっと泣かしにくるし、江崎潤一郎はある意味一番殻をぶち破ったというか思ってもみないアツさを出してきたし、葵静葉については一番しんどいバックグランドがありながら5日間で最も成長しててこいつのこと嫌いになる人なんていないだろって感じでした。

700ページくらいあって長いには長いんだけど、5日間で完結する物語ゆえの濃密さなだけで、読んでいると全然「長いな」と思うことがなかった。特に中盤からのスピードの出方が異常。序盤はどうしても伏線張りと状況/キャラ説明にならざるを得ないのでちょっとだるいかもしれないが、それだけ終わったらどんどん面白くなってくるので序盤で詰まってしまった人は勇気を出してもう一回本を開いてください。ラストがいいから。よい物語ですよこれは。

*1:黒澤皐月はなんで超能力付与できんのとか、大須賀駿だけマジモンの超能力者だったってこと?でも声は聞いてるんだよね?接点は?とか

*2:能力も他のキャラに比べてちょっとしょうもないところもいい