ときどきDJ

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斜線堂有紀『恋に至る病』読んだ

ライトなエンタメ小説。なんて表現すればいいのかわからないなかなか読んだことのないタイプの小説だった。ミステリではあるんだけれども謎解きがあるわけでもないし、サスペンスと言えばサスペンスだが悲壮感はそこまでなくて、ずっと低温*1で続いていく。主人公の彼女が容姿端麗頭脳明晰サイコパスで、自ら手を下すことなく殺人をやってのける様を描いているんだけど、主人公は常に行動原理が「自分(主人公)は彼女のヒーローである」というもので一貫していて気持ちがよかった。いじめ描写があるので読む際には気をつけてください。初っ端で描かれるからネタバレにはならないんだけど景が死ぬまでの流れも結構好き。主人公も景もナチュラルに狂っているのに単なる恋人としての描写があまりに自然でなんだか目が回るような体験だった*2。あと刑事関連のところがもうちょっと厚みがあると個人的に好きなんだけどなあという感じ*3。他の著作も読んでみようとは現状なってないんだけど今後読むかもわからん。いずれにせよ300p以内とかでかなりサクッと読めるので、気軽にさらっと読みたいという人にはおすすめ。

*1:冷たい印象というほどでもない

*2:感情が揺さぶられるわけじゃなく頭の中の人物像が揺れるというか、ただ決して悪い意味ではないです

*3:嫌だったり嫌いというわけではない