ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

『Heaven Burns Red』のこと

シュール

一応それなりにプレイしているので書いておく。正直よく出来てる。というかよく作りきったなと思う。スタミナ制は成長要素やキャラ個別のストーリーを読む方に寄せて、基本のお話は読み進められるようになっているのもきれいだし、メインストーリーの中でもターン経過で攻撃タイミングが変動するギミックがあるからオートで回していればいいとならないのも考えられている。さらに言えばメインストーリーも無尽蔵に読めるのではなく、プレイヤーランクでキャップがされているため、ちゃんと育成系のコンテンツ*1か交流をしないといけないので結果的にスタミナ制が効いているのにゲーム体験としてスタミナに縛られている感じがしない。リリースされて1年以上経ったので話題性としてはそこまでではあるものの、未だに数字も出続けているようだしこれは手放しで「成功した」タイトルだといってもいいと思う。モバイルでもやるんだけどsteam版を入れて夜家でポチポチしながら遊んでいるが、Switchで遊べるタイトルくらいのプレイ感覚は得られるし単なるポチゲーだとも思わない。強化要素については正直キャラごとにストーリー読んで絆Lv.を上げる必要があるのがだるいけどそうやってキャラに興味を持たせて世界観に沈めるという手法が取られているのもさもありなんといった感じだ。あとアリーナ周回させてスタイルのLv.をある程度上げてしまえばメインストーリーはそれなりに進められてしまうものの、スコアアタックとかだとちゃんと最適パ組まないとパワーで殴るが通用しないようになっているのも抜け目がないなと感じる。

これのディレクターは相当に頭が切れる人だと思う。なにより、「いわゆるモバイルゲー」っぽく作ってしまったほうが絶対楽なのに、あくまで生活をなぞっていくんだ、だからこの形式じゃないとダメなんだ、と貫き通したところもすごい。間違いなく「これ、特殊な形式取ってるけど大丈夫なの?」といろんなところからツッコまれたであろうし、それに対して「こういう理由で大丈夫です」と全て返して説得していったんだろうなと想像する。当然といえば当然なんだが、実際現実でそれをやりきるのは難しいし、すごい手腕だと思う。なんというか、自分の至らなさを勝手に感じるくらいには「これはやられたな」と思える1本だった。

しかしながら、どうにも麻枝准氏のシナリオと僕は相性が悪かった。もともとリリース直後にインストールしてすぐに「特有の痛いノリ」がキツくてやめてしまった。一周年の『Angel Beats!』コラボ直前に復帰して、二章の終わりまで走った*2けど話は全部スキップ。コラボイベントもちゃんと回ったけど同じく話はすべてスキップしてしまった。タイトルのキャッチフレーズが「最上の、切なさを。」なのに全ての話を無視してしまって大変申し訳ない。未だにキャラの名前も特徴もわかってない。『Angel Beats!』自体は放送当時ちゃんと楽しく観ていた*3のに、まったく話を読む気になれなくてそのままイベントをクリアしてしまった。あのノリ、今の若い人にはどう映るんだろうか?正味麻枝准という名前を見て興味を持つような人たちって年齢が少なくとも僕より上だろうと思っているんだけど、若い人の感性ではどのように見えるのかが気になる。別に麻枝准氏を批判したいわけではなく、純粋に知りたいという気持ちがある。逆に新鮮だったり、もっとフラットな目線で見られるのだろうか。

『原神』がリリースされたときには「コンシューマ機で出せるクオリティのものがモバイルでも常識になっていくのかもしれない」と思った。その点『Heaven Burns Red』は「Switchで出てもおかしくない出来」だと思っていて、この「Switchで」というところが非常に「ちょうどいい」。テクノロジー的な意味で超絶ハイクオリティという訳ではないけど「遊びとしてハイクオリティ」。このちょうどよさがヒットの理由なんじゃないかと思っている。

*1:ダンジョン、プリズムバトル、時計塔

*2:ちゃんと読んでないけど「この蒼井っていう子かわいいじゃん」って思ってたのに死んだらしい

*3:だからこそ周年のコラボイベントも走ったし、そういう意味では麻枝准作品全部が受け付けないわけではない