ときどきDJ

ときどきDJをやっているIT系の人の殴り書きです。

多分、恋をしている

(概ね気づいているのでyuiではない)

もともとそこまで恋愛に対して積極的ではなかったが、こと三十代に入ってからはめっきりそういう気分になることもなくなったし、いまだ結婚願望もない。明るい青春時代だったのかと言われるとそこまで明るくなかった。だけど人並みに好きな人と付き合えたり付き合えなかったりも経験した。好きでもない人と付き合ったり、くだらない遊びにほうけた時期もなくはなかった*1。だけどまあ一通りのことはやったから、あとは一人でのんびり生きるんだろうなと思っていた。

と、思っていたのだが、ここ最近で出会った「ある人」に対してなんだかずっと言葉にしづらい感情を持っていることに気づいた。で、多分これは恋なんだろうなと気づいてしまった。まさかこんなことがあるんだなぁと自分でも驚いている。

出会ったのは馴染みの飲み屋なのだが、お互いがマスターの知り合い、ということでたまたま3人で話をしたところから始まった。カウンターに1席空けて横並びで座って、「くだらない話にケラケラ笑いながら、きれいな髪を揺らす姿が美しいな」と思ったのを、とりあえず覚えている。結局その日僕は朝までマスターと飲んでいた。そんな中、彼女は2時過ぎに帰っていったのだが、帰り際の笑顔を見たときに「酒を飲んだ帰りでも、凛とした笑顔をする人」なんだなと思った。多分、このときから既に始まっていたんだと思う。

しばらくしてから再びその店に遊びに行ったときに、そういえば名前を聞いてなかったなと気が付き、本当になにも意識せずにマスターへ名前を聞いていた。マスターから「名前、知らなかったんだ。彼女近所だから呼べば来るんじゃない?」という言葉が返ってきた瞬間に当人が入ってきて笑った。当然、なんのことだか理解できていない彼女に事情を説明し、彼女は笑いながら自己紹介をしてくれた。僕も名前を伝え、お互い初めて相手の名前(だけを)知った瞬間だった。この日は、楽しくて飲みすぎたことでほとんど記憶がない。

普段であれば、記憶をなくした翌日はまず「ここはどこか」「だれか一緒にいるか」を気にして、一人で家で寝ていたことがわかったら「まあ大丈夫だろう」くらいにしか考えていなかった。だが、その時即座に頭に浮かんだのは「なにか迷惑をかけていないだろうか」「話をした内容を覚えてないなんてもったいない」ということだった。このあたりで自分の中で言葉にしづらい感情がありそうなことに勘付いていた。

そして先週末、3度目の再開(「再開」という言葉の意味では2度目?)があった。「いつも金曜日に会いますね」と投げかけられた声に、言いようのない感情を覚えてしまった。この一言があまりに効いてしまったため、この日も記憶をなくすまで飲んでしまった。土曜の朝に目が覚めて、同じように不安になりながら、シャワーを浴びて散歩にでかけた。この時点では「多分、そうだよな」という感覚だったのだが、週をあけて平日に仕事をしているときに気がついてしまった。土日に仕事を持ち越さないようにしようとしている自分に。金曜日にまたその店に行こうとしている自分に。

もちろん、彼女とは毎週金曜日に合っているわけではない。月に1回、金曜日にたまたま居合わせるという程度だった。その時間軸を知っている自分が、まさか先週会っているのにもかかわらず今週も彼女と会えるのではと淡い期待を持っていることに気がついてしまった。これは、多分、恋なんだろうなと思った。

ここまで長ったらしく書いたけど、この結果がどうなっても別にいい。それでも今、少しだけ人生が楽しい。社交辞令だと思い続けていた、「なんか、ここ最近かっこよくなりましたね」という会社のメンバーから言われたお世辞も、「そういうことか」と思える*2

まあ、おっさんの恋愛なんて全く需要がないだろうから、多分経過報告は書かない。結果に関しても、よほど「書きたい」と思わなければまず書かないだろう。だから酷い投げっぱなしのエントリになるのはご容赦ください。でも、なんとなく、おっさんになっても生活に彩りが生まれることがある、という現実だけ伝えられたらいいなと思ってこれを書いた。普段だったらマークダウンで見出しを絶対つけるのだが、それがまるでないというあたりで本気度をお察しいただければと思う。

僕も相手もいい大人だ*3。その前提で考えたら、こじれはしないだろう。ちょっとした人間交差点、何があってもそれっきりとして生きていたい。ただ、ただ、恋だと自覚した僕の気持ちはそれなりの熱量があるので、迷惑にならない範囲で、自分の中で育んでいきたい。

そういえば、小説を書きたいという個人的な欲求があるので、私小説としてこれを土台に書くのもいいかもしれないと思った。「私小説として」だから、やはり本気中の本気なんだろう。まさかこういう感情/状況に三十代を越してなるとはと、ただただ驚いている。

*1:というか今でもお互い合意の上であればくだらない遊びは好きだ

*2:もちろん、9割9分(あるいは十割)は確実に社交辞令だろうが

*3:年齢も、なんなら名字すら聞いてないけど